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 時間はあっという間に過ぎていった。裕太と涼は同じ大学へと進学し、多くの時間を共に過ごしていた。  裕太は涼への恋心を必死に抑え込み、ただの友達として過ごし続けていた。しばらくは涼に対する気持ちを思い出してしまったが、徐々に心を落ち着かせる術を身に着けていった。  ずるずると同じ大学へ行き、ずっと一緒にいることが、裕太にとってまだ涼のことを諦めきれていないと時折思わせる。  滑稽だと思いつつも、裕太には逃げ出す勇気は存在していなかった。 「ふぅ……」  夏も近付いて肌に汗が浮かび上がるような時期となってきた。  裕太も涼も、珍しく授業後の予定は何もなかった。そのため、久々に寄り道をして帰ることにした。 「お待たせ」 「おう」  ようやく涼が現れ、裕太は自然と笑みを零していた。寄り掛かっていた壁から離れ、二人並んで歩き出す。 「暑い中待たせて悪いな、裕太。あの教授、提出物のチェックに厳しくてさー」 「あはは。だったら早めに課題やっとけよ。俺みたいにさ」 「んなこと言ったって……。たまたま、バイトのシフトが連続してただけだって」 「そういうことにしておいてやるよ。それより、どこ行く?」 「そうだなー……。あ、久々にバーガーショップ行かね? 昔しょっちゅう行ってたさ」  涼の提案に、ドキリと心臓が跳ね上がった。  裕太にとってはあまり思い出したくない、涼への恋を自覚した店である。何度も通い詰めていた店ではあるが、あの日以来二人きりで行くのを避けていた。  それを突然口に出すなんて。涼は全く悪くはないけれど、裕太の手は汗でじっとりと湿っていた。 「久々にあの味が食べたくなってきた。どうだ、裕太?」 「あ、あぁ……。じゃあ行くか」  行き先が確定するなり、涼は満面の笑みを浮かべて足早に歩き出していった。  数年経ってもまだ心が重い。裕太は不審な表情にならないように必死で心を落ち着かせて涼の後ろをついていった。

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