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第4話

夏休み。 松若先輩は引退してしまったけど、オレたちの指導の為にと他の先輩方と一緒に部活に参加してくれていた。 オレは変わらず先輩にアピールしまくってたけど、先輩の態度も変わらず冷たいままだった。 「先輩!!一緒にメシ食べてもいいすか?」 昼が来るとオレはいつも先輩に声をかける。 「お前もホント松若好きだなー」 「良かったな、松若。慕ってくれる後輩が出来て」 「…………」 他の引退した先輩方の間に入れさせてもらって食べる昼メシ。 松若先輩はいつも美味しそうな弁当を持って来ていた。 「先輩の弁当、今日も美味そうですね!」 「…………」 先輩は相変わらずの無反応。 「ホント、お前って見た目によらず料理上手だよな」 と、別の先輩が言った。 「えっ!?」 オレ、その言葉に驚く。 「何だ、来馬。お前、松若が料理得意だって知らなかったのかよ」 「……大した事ねぇって、こんなの」 その冷たい目のまま話す先輩から、オレは目が話せなかった。 先輩が料理上手なんて知らなかった。 あの毎回美味そうだと思ってた弁当も先輩が作ってたなんて。 思い出すとめちゃくちゃ感動した。 「そんな風に言っちゃうのがスゲーよな」 「別に。料理なんて毎日の事だから」 「……ください……」 先輩方が話している中、オレは興奮してしまいつい口走ってしまった。 「オレに、オレにも弁当作って下さい!!全部残さず食べますから!!」 「……はぁ……??」 松若先輩には眉間にシワを寄せてオレを睨み、周りの先輩方は凍りつく。 「何でオレがお前なんかの為に弁当作らなきゃいけねーんだよ。黙ってりゃ調子に乗りやがって。お前、気持ち悪いんだよ」 「お、おい、松若。言い過ぎじゃ……」 「あぁ?本当の事を言って何が悪い?」 「…………」 オレ、玉砕。 けど、怒ってる松若先輩がまた良くて……なんて思ったりして。 それからオレは松若先輩に部活の事以外で話しかけたり近づいたりするのを禁止され、ただ先輩を見つめる事しか許されなくなった。

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