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第11話◇

「……涼――――……」  抱き込まれて。  キスされる。  さっきよりも、深く重なる。  不意に舌が唇に触れて、躊躇ったけれど、少し、唇を開けた。 「……っん……」  急に深く絡んだキスに、声が漏れた。  急に恥ずかしくなって、一度離れようと思ったけれど、  いつの間にか後頭部にまわってた蒼紫の手が、退くことを許してくれない。 「……っん……ぅ……っ」  ……キス、激しい。  息が、ちゃんと吸えない。  絡めとられる舌に、どうしたらいいのか分からない。  めちゃくちゃ強く抱き込まれて。  あんまりに深いキスに、きつく目を閉じるしか、出来ない。  一度離れようとして蒼紫の胸についた手は、力を失って、そこを握りしめるしかない。手が震えて、力が入らない。 「……っ……ん、ン……ふ」  どれくらい、キス、されてたんだか、分からない。  蒼紫とキスしてるって言うだけでいっぱいいっぱいで。  頭の中、真っ白で、それ以外は、何も考えられれなくて。 「ん、ぅ……」  舌を優しく噛まれて。  ぞく、と震えて。 「――――……涼……」  もうぐったりで。  蒼紫の腕に抱き止められていたら。  ゆっくりキスが離れて。名を呼ばれた。  ゆっくり瞳を開けると。滲んでた涙で、視界がぼやける。 「……好きだ、涼」 「――――……」 「ガキん時から、ずっと好き、だった」 「…………」  ぼやけた視界の中で。  蒼紫がまっすぐにオレを見つめて言う言葉は真剣で。  女の子たち、何だったの。とか。  どうしても気になる事は浮かぶんだけど。  それ、後でいいや。 「オレも。ずっと好きだった」  言ったら、またキスされる。 「――――……」  ……キス魔なのかな。蒼紫。  いきなり、最初から、どんだけするの。  思いながらも。  幸せ過ぎて。抵抗する気なんか、かけらもない。  顔が熱い。 息が乱れて、吐く息まで、熱い。  指が、どうしても、震える。  蒼紫の腕に捕まったら、気づいたみたいで。  キスしたまま、見つめられて。蒼紫は、ふ、と目を細めた。  そのまま、また、腕の中に引き込まれて。  遠慮のない、激しすぎるキス。  息が、できない。動けない。  舌を吸われて、ぞくん、と背中が震えた。  う、わ……。  また、涙がにじんできて。  うっすら開いた目に、蒼紫のドアップが映る。  今まで見てきた、どの蒼紫とも、違う。  熱っぽい瞳と視線が絡んだ瞬間、体がカッと熱くなった。  うわ……やば。  これ……なに…… 無理。   「……は……っ……あお、……すとっ、ぷ……」 「……無理」 「……っん……う!」  噛みつかれるみたいな、キス。  まだ嘘みたいな、キスしてるという現実を。  ただただ、噛みしめながら。  すごく短かったような気もするし、永遠に続いてるみたいにも思える時間を、過ごした。

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