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第17話◇
「何か怒ってる?」
「……うーん。怒ってるというか。……蒼紫のイメージがさ。……完全にエロい人だったから。ギャップに困ってるというか…… 急に、戻せないというか……」
「……なんだそれ。 戻せよ」
蒼紫は完全に苦笑いを浮かべて居る。
「あと、飽きるまでした、っていうのにも、なんかモヤモヤが……」
「……ごめん」
「でも、嬉しいんだけど……全員じゃなかったのは」
「――――……」
「なんかまだ……色々ぐちゃぐちゃなの、頭ん中が」
「……そっか」
なんか色々複雑なのは、対処できていないからだと思う。
でも、好きって事だけは絶対だけど。
めちゃくちゃ女好きって思ってた蒼紫の事だって、好きだったし。
――――……もう。何が好きって。
子供の時から、蒼紫の事が全部好きだったから、もう良く分かんないけど。
好きなとことか、蒼紫との好きな思い出とかだったら、永遠に話せそう。
隣に居た蒼紫は、もっと近づいてきて、じっとオレを見つめた。
「……涼」
「ん」
「――――……オレの事、好きなのってさ」
「……」
「恋愛?」
「……うん」
「男同士でも、良いのか?」
「うん」
「本気で、言ってる?」
「うん」
まっすぐ、短く、聞かれる。
「オレと、付き合って、くれる?」
「うん」
「恋人で、だけど、良いの?」
「うん」
「キスするけど」
「うん」
「めちゃくちゃ抱きたいけど」
「……うん」
「全部、本当に、良いのか?」
「うん。……ていうか、それ全部、オレも蒼紫に、聞きたい。……ほんとに、オレで、良いの?」
そう言って、見上げると、蒼紫は、じっとまっすぐオレを見つめる。
「オレは、ずっとお前が好きだった。ずっとオレのにしたいって思ってた」
「――――……」
「涼が、オレのになるなら……」
「なる、なら?」
「……めちゃくちゃ可愛がりたい」
「は?」
「抱き締めて、撫でて、キスして、ずっと優しくしたい」
「――――……っ」
かけらも思っても無かったことを言われて、ぽかん、と口をあけてしまった後。かあっと、一気に顔が、熱くなった。
だって。
蒼紫のイメージじゃないんだもん、今のセリフ。
クールとか冷めてるとか、そっちのイメージが強い。
オレにだって、そんな感じ。
熱かったのは、オレを芸能界に引き込んだ時だけ。
むしろ世間には、Sのイメージで浸透してて、それが分かってるから、そういう回答をして、騒がれるの見て遊んだりしてるのも知ってる。
今のセリフは、完全に蒼紫っぽくなくて。
びっくりするけど、なんか嬉しくて。
瞬間。
むぎゅ、と抱き締められた。
「……一生可愛がるから。オレのになって、涼」
「――――……うん」
頷くと。蒼紫、めちゃくちゃ嬉しそうに、笑った。
「でもって、オレも、お前のにしろよ」
「――――……うん!」
そんな台詞に。
――――……オレも、嬉しくなって。めいっぱい、笑ってしまった。
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