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第18話◇

  「な、涼、オレが、抱く方で良いの?」 「……あの…………オレが蒼紫に出来ると、思う???」 「思わない」 「……だよね」  お互い、何だか可笑しくて、ぷ、と笑ってしまった。   「じゃあ、オレが抱く」 「……うん」  頬に、蒼紫が触れて。  そっとキスされる。 「……涼、可愛い」  囁かれて、何度もキスされる。 「……ん……ふ……」 「……声、かわい、涼」  笑う蒼紫に優しく、囁かれる。けど。  つい、声、出さないように、止めてしまう。  頬にキスされて、触れられて、髪を撫でられて、またキスされる。  ちゅ、と舌、絡む。  昼間あんなにキスしたのに。  なんか、やたら、優しい。 「あ、蒼紫、あの、さ」 「ん?」 「……声、とか…… やじゃない?」 「は?――――……涼?」  頬に手がかかって、すり、と撫でられる。 「……涼って、まだ何も、分かってないなー……オレ、お前がずっと好きだったんだし、嫌とかある訳ないし」  苦笑いの蒼紫。 「でも、女の子じゃないし……」  言ったら、むぎゅ、と抱き締められた。 「大好き、涼」 「――――……」 「つか、もう――――……大好きって言えるだけでもすげー嬉しいのに、嫌とか、ある訳ないし」  かあっと耳まで熱くなる。 「オレ、涼の全部、めちゃくちゃ可愛がりたい」 「――――……っ」  キスしようと近づいてくる蒼紫についつい。 「……そう、いうの……前も言ってた?」 「だからー……オレ、そんな遊んでねえってば」 「……っっだって慣れてなかったら言えない、じゃん」 「……本気でそう思うことしか、今言ってない」 「~~~~っ」  ますます、恥ずかしいんだけど……。  頭の中、恥ずかしさで破裂しそうになりながら、蒼紫を見上げていると。  真っ赤すぎるんだけど、と笑った蒼紫に頬にキスされる。 「大好きだよ、涼」  蒼紫て。  ……蒼紫って、こういう人だったんだ。  好きとか。  聞かれても言わないとか、言いそうな顔してたくせに。  いっつもオレ様な顔、して……。  なのに。 「すげえ可愛い。涼……」  言いながら、ちゅーちゅー色んな所にキスしてくる。 「くす、ぐったい……」 「――――……」  頬や首にキスされて、首竦めてると。  蒼紫が一瞬固まって、オレをじっと見つめて。 「……あーもう、可愛い……」  言いながら、唇に触れてくる。   「……何かオレ。お前抱き締めて、キスしてるとか――――……」 「…………」 「夢かなって思ってるかも……」  ……蒼紫さん?  ――――……まじで。  なんか、言ってる事、乙女みたいになってる気が……。  は、恥ずかしすぎるんだけど……っ。 「――――……あのさあ、涼」 「……うん?」 「今日は、抱かないけどいい?」  一瞬、体の中の空気、全て吹き出してしまいそうになる。  ひとしきり、むせてから。 「…………っいい、よ、もちろんっ」  オレの背中をさすりながら、蒼紫が、クスクス笑ってる。 「ごめん、さっきから、オレが抱く方とか、そんな話してたのに」 「…………いいよ、ぜんぜんていうか、心の準備できて、ないし……」  そう言うと、蒼紫は、ん、と頷いてから、オレの頬に触れた。 「明日も学校だし、今日もう遅いし――――……心の準備、できてからゆっくり、な?」 「――――……うん」  何だかちょっとホッとして。  ふ、と笑ってしまうと。 「……ホッとしただろ、今」  クスクス笑いながら、蒼紫が頬にキスしてくる。 「うん……した」 「――――……したくないとかじゃねーからな」 「うん……」 「涼もしたくない訳じゃねえよな?」 「……うん」  頷くと、また、抱き締められる。  その腕の中で、少し、笑ってしまう。 「ん? なに笑ってる?」 「……楽屋であんな、キス、するから――――…… 今日するのかと、思った……」 「あれは――――……一気に興奮したっつうか、止まんなくなった、っつうか……」 「……今は?」 「――――……お前がオレを好きっていうのが……ほんとかな、って、少し落ち着いたとこ、かな」 「――――……」  ちゅ、とまた頬にキスされて、見つめられる。  もう、またしても、かあ、と赤くなってしまう。  大好きな蒼紫の、大好きな瞳。  それが、こんな至近距離で、こんな優しくなってると。  もうそれだけで、オレはいっぱいいっぱいで。  こっちこそ、ほんとに、夢、みたいで。  

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