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第31話◇
「うー……」
ぎゅ、と目をつむっていたら。
蒼紫が、ぷ、と笑って、手を離して、オレの頬に触れてきた。
「涼……」
ちゅ、と頬にキスされる。
「……可愛すぎて、どうしたらいいかなー、オレ」
「……っもう。蒼紫って」
「ん」
「……エッチ!」
言った瞬間、目を大きくした蒼紫が、すぐにクッと笑い出して。
オレから顔を背けて、笑い続けている。
……っもう! マジでエッチすぎ!
キスの仕方も、触れてくる手も、手を舐めるって何!
「オレにはついてけない」
「……あーもう。可愛い。もっかい、えっちって、言って?」
何言ってんだ、もう!!
「っ……っやだよっ」
「言って? すげえ可愛い」
「…………っ」
「……っっ蒼紫のエッチ……っ!!」
逆らえなくて仕方なくそう言うと、蒼紫は、ふふーん、と笑う。そのまま抱き締められてしまう。
「――――……かーわいい」
もう何回、可愛いって言うんだ。
ぎゅう、と抱き締められて。そのままくるん、と上下逆にされた。
と、つまり。
蒼紫が、オレの下に来た、てことで。
「――――……っ」
うわー。これも恥ずかしい。
「……涼、さっきから何言おうとしてた?」
「え?」
「蒼紫、オレねって。言ってたろ?」
「……あ、うん。言ってた」
「何?」
よしよし、と頭を撫でられる。
「――――……オレさ、キスとか慣れてないからねって、言おうとした」
「――――……」
「だから、うまく返せないし…… もうそのつもりで、居てほしいんだけど……て、言おうと思って」
蒼紫がじっと見つめてくるのをドキドキして見つめ返しながら言い切ると。
「……もう、なんなの、涼」
「え?」
後頭部に乗った手に引き寄せられて、蒼紫に、キスさせられる。……というか、下からキスされる、というか。
「ダメだ。 オレ、もとから、死ぬほど好きだったけど――――…… もうとめようがなくて、ほんとにヤバい……」
「――――……」
「なんでそんなに可愛いのお前……」
じっと見つめられて。そんな風に、真下から言われると。
ぼっと、熱くなる。
「慣れてなくていいよ、もう全部、オレとで覚えて」
「――――……っっ」
「気持ち良い事も、全部オレとだけ、しよ」
「~~~っっ」
恥ずかしすぎる。恥ずかしすぎる。
蒼紫がこんな甘々の甘々の甘々とか、考えた事もなかった。
むしろ、蒼紫、Sっぽいのかと思ってた。
だって、態度も全部、そうだったし。
世の中の蒼紫を好きな女の子達は、こんな激アマとか想像してないはず。
わーん。
恥ずかしくて、もうだめだ。無理だ……。
蒼紫の肩にぺちょ、とつぶれていると。
蒼紫が、オレの背を抱いて、クスクス笑う。
笑ってるその震えが、体を伝って感じるって。
――――……幸せ過ぎるなあ。なんて思うけど。
恥ずかしいから、言えないなぁ…………。
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