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第33話◇

「蒼紫が……」 「ん?」 「……触り、たいって、思って、くれるなら」 「――――……は?」  やっと伝えた言葉に、思い切り、怪訝な顔をされて。  見つめられて、かああっと顔が熱くなる。 「何それ、どーいう意味?」 「なな、なんでも、ない」 「涼」  顎を押さえられて、マジマジと見つめられる。 「なんだよ、それ」  ぷ、と笑われる。 「触りたくないと思うと、思ってンのか?」 「――――……わ、かんない」 「うわー……ほんと、お前って……」  ちゅ、と頬にキスされる。 「なんでそんなに可愛いかなー……」 「……っっ??」  何が、可愛いんだろうか。 「あー、可愛い。……心配なんだろ、お前」 「……っ??」 「オレがお前を触りたくないとか。思ったらどうしようとか、思うんだろ?」 「――――……っ」  そ、う、かもしれないけど。  咄嗟に言っちゃったから、自分でもあんまり深い意味はなかったんだけど。  蒼紫が触りたいと思ってくれてるなら、触られたいと、思っただけで。  ……ああ。……そっか。  触りたくないと思う可能性を、考えてるのか、オレ。 「オレがお前に触りたくないかもって、心配してんだろ?」  自分でも、はっきり思って無かったことを、思い切り言葉にして、それをクスクス笑って――――……。 「可愛いな、涼」  ちゅ、と頬にキスされて。 「――――……んな訳ねーじゃんか。ほんと、全っ然分かってない」  唇にキスされて、舌が絡む。 「触りたくて、しょーがねえから――――…… 触るぜ?」 「――――……っ」  唇が触れたまま囁かれて。  息も出来ないで蒼紫を見つめていると、深くキスされて。 「……う……んん……っ」  何度も何度も、角度を変えて、奥まで、舐められる。 「……ん……っ……ン……っ」  ……こんな、キス……ついていけない。  そう思うようなキスが、長く続いて。  蒼紫の手が、ウエストのあたりを撫ぜて、中心へと、滑った。  体がびく!と大きく震えた。 「――――……あ」  ズボンの中に、手が滑り込んできて、躊躇いなく、絡んでくる。 「……ひ、ゃ……っ」 「――――……すげえ、熱い……」  くす、と笑った唇が、顔を背けたオレの、耳に触れる。 「……っあ」  体中に、力が入って、動けなくなる。  耳に舌を這わされただけで、ビクビク揺れて。 「……あ、ンっ…… や……っ」  漏れる声を塞ぎたくて、両手を口に当てて、ぎゅうっと力を入れてると。  蒼紫は、クス、と笑った。  そこからは、よく、覚えていない。  深くキスされたまま、そこを刺激されて。  頭、真っ白になった。  蒼紫の手であっという間に感じさせられて。  ――――……達する前に蒼紫のと、密着させられた。 「や、だ……は、ずか、し……っ」 「……もう可愛いこと、これ以上言うな。黙って喘いでて」  黙って喘いでてって、おかしいでしょ…………っ。  そう思うのに。  蒼紫に追い立てられて。  言う通り、漏れる声も抑えられなくなって。  ――――……多分、ほとんど一緒に、イった、んだと思うけど。  オレはもう、真っ白すぎて。  終わった後も、延々キスされて、もう、ぐったりで。  シャワー、浴びよ? と蒼紫に囁かれて、バスルームに連れていかれても。  なんかもう、ひたすらぼーーーー、としてて。  蒼紫は、そんなオレを、可愛いって、ずーっと言ってて。  なんか。  頭。溶けそうだった。  

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