33 / 62
第33話◇
「蒼紫が……」
「ん?」
「……触り、たいって、思って、くれるなら」
「――――……は?」
やっと伝えた言葉に、思い切り、怪訝な顔をされて。
見つめられて、かああっと顔が熱くなる。
「何それ、どーいう意味?」
「なな、なんでも、ない」
「涼」
顎を押さえられて、マジマジと見つめられる。
「なんだよ、それ」
ぷ、と笑われる。
「触りたくないと思うと、思ってンのか?」
「――――……わ、かんない」
「うわー……ほんと、お前って……」
ちゅ、と頬にキスされる。
「なんでそんなに可愛いかなー……」
「……っっ??」
何が、可愛いんだろうか。
「あー、可愛い。……心配なんだろ、お前」
「……っ??」
「オレがお前を触りたくないとか。思ったらどうしようとか、思うんだろ?」
「――――……っ」
そ、う、かもしれないけど。
咄嗟に言っちゃったから、自分でもあんまり深い意味はなかったんだけど。
蒼紫が触りたいと思ってくれてるなら、触られたいと、思っただけで。
……ああ。……そっか。
触りたくないと思う可能性を、考えてるのか、オレ。
「オレがお前に触りたくないかもって、心配してんだろ?」
自分でも、はっきり思って無かったことを、思い切り言葉にして、それをクスクス笑って――――……。
「可愛いな、涼」
ちゅ、と頬にキスされて。
「――――……んな訳ねーじゃんか。ほんと、全っ然分かってない」
唇にキスされて、舌が絡む。
「触りたくて、しょーがねえから――――…… 触るぜ?」
「――――……っ」
唇が触れたまま囁かれて。
息も出来ないで蒼紫を見つめていると、深くキスされて。
「……う……んん……っ」
何度も何度も、角度を変えて、奥まで、舐められる。
「……ん……っ……ン……っ」
……こんな、キス……ついていけない。
そう思うようなキスが、長く続いて。
蒼紫の手が、ウエストのあたりを撫ぜて、中心へと、滑った。
体がびく!と大きく震えた。
「――――……あ」
ズボンの中に、手が滑り込んできて、躊躇いなく、絡んでくる。
「……ひ、ゃ……っ」
「――――……すげえ、熱い……」
くす、と笑った唇が、顔を背けたオレの、耳に触れる。
「……っあ」
体中に、力が入って、動けなくなる。
耳に舌を這わされただけで、ビクビク揺れて。
「……あ、ンっ…… や……っ」
漏れる声を塞ぎたくて、両手を口に当てて、ぎゅうっと力を入れてると。
蒼紫は、クス、と笑った。
そこからは、よく、覚えていない。
深くキスされたまま、そこを刺激されて。
頭、真っ白になった。
蒼紫の手であっという間に感じさせられて。
――――……達する前に蒼紫のと、密着させられた。
「や、だ……は、ずか、し……っ」
「……もう可愛いこと、これ以上言うな。黙って喘いでて」
黙って喘いでてって、おかしいでしょ…………っ。
そう思うのに。
蒼紫に追い立てられて。
言う通り、漏れる声も抑えられなくなって。
――――……多分、ほとんど一緒に、イった、んだと思うけど。
オレはもう、真っ白すぎて。
終わった後も、延々キスされて、もう、ぐったりで。
シャワー、浴びよ? と蒼紫に囁かれて、バスルームに連れていかれても。
なんかもう、ひたすらぼーーーー、としてて。
蒼紫は、そんなオレを、可愛いって、ずーっと言ってて。
なんか。
頭。溶けそうだった。
ともだちにシェアしよう!