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第36話◇
「……涼」
キスを離して、ぎゅ、と抱き締められる。
「すげー好き……」
胸の中に抱き締められて、耳元で、囁かれると。
ぞく、と震える。
「――――……っ」
わーわー、もう、勘弁して。
蒼紫が普通に話してるのを見てるだけだって世の女の子達は蒼紫の事、エロいとか、大騒ぎで。見つめられたらヤバいとか、囁かれたら気絶しそうとか、散々言われてるのに。
でもって、オレは、誰よりも、蒼紫の事、ながーーーいこと、大好きだった奴な訳で。
一番、大好き、な訳で。
「なあ、涼は……?」
甘えるみたいな声で、耳元で、続く。
「――――……オレの事、好きって言えよ」
「――――……っ」
あ、もう、無理。
……全部溶ける気がする。
「――――……涼?」
オレが答えないから、蒼紫が少しだけオレを離して、頬に触れてくる。
「……何でいわねーの?」
じっと見つめられると。
――――……耐えられなくて、ぎゅ、と目をつむってしまった。
ていうか、オレ、今までどーやって蒼紫と見つめ合ってたんだろうと、不思議になる位、心臓がバクバクいってる。
「……目ぇつむっちゃう?」
蒼紫がクスクス笑いながら、オレの頬をすり、と撫でる。
「オレに何されても、文句言えないなー……?」
クスクス笑った蒼紫に、キスされる。
「……っ」
困って、瞳を開けると。
蒼紫が、オレを笑って見てる。
「……好きって言えよ」
「――――……っ」
そろそろオレ、息絶えそうだけど……。
今までずーっと片思いだと思ってきた。
蒼紫が好きって言ってくれてからは、どう見ても、オレを好きって思ってるとしか思えない感じだから。
何でだかはまだ少し不思議だけど、疑いようもない位に、オレを好きだって言ってくれてるのは信じてて。
それでも。こんなに熱っぽく好きって言ってくれちゃうと。
さっきしてしまった事と相まって。もう。
もうほんとに、頭溶けそう。
「……好き? オレの事」
「――――……す…………」
「?」
「……き」
「――――……」
しばらく無言だった蒼紫が、クッと笑い出して。
「……何今の。好きって言った?」
じっと見つめられてクスクス笑い続けられて。
小さく、頷くと。
「……あーもー。 何でそんな可愛いかな」
笑いながら、蒼紫が頬にキスして。
「ちゃんと、繋げて言えよ?」
またまっすぐ見つめられる。
だから。
その。破壊力が凄すぎる瞳で、まっすぐ見つめて、笑うの。
やめてくれないかな……。
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