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第37話◇

「……すき」  思い切って、言う。  ……たったこんな2文字の言葉、なんでこんなに言うのが恥ずかしいんだろ。謎すぎる……。  頑張って伝えたら。  ふ、と笑った蒼紫にキスされて、また抱き締められた。  もう、密着度が高すぎて。  心臓が。  痛いんだけど……。  優しいキスを何度も繰り返して、また頬にもキスされて。 「――――……なんかオレ、今なら死んでもいいかも」  蒼紫がそんな事を言う。 「え。何それ……」 「今死んだら、一番幸せな状態で天国行けそうって思って」 「……やだよ、オレ置いて死なないでよ」 「それ位、今が幸せ過ぎって事だよ」  むぎゅ、と抱き締められる。 「――――……涼がオレの事好きって、もっと早く知ってたらなあ……」  そんな事を呟いたきり、蒼紫がしばらく無言。   「……知ってたらどうしてたの?」  話、続かないのかなと思って、聞いてみた。  すると、蒼紫、くす、と笑って。 「――――……離れないで、ずっと側に居た」  そんな風に言う。  何だか、何も答えられず、蒼紫を見上げる。 「――――……諦めようとしたり、女に行こうとしたり、しなかった」     思ってたよりずっと真剣な内容の言葉に。  蒼紫を諦めようと女の子と付き合おうと頑張ってた記憶が浮かんでくる。 「――――……涼を、女の所にもやらなかったし」 「――――……」 「……女の話して、傷つけたりもしなかった」  ぎゅうう、と抱き締められて、顔も見られなくなる。  ふ、と、急に涙が滲んだ。  でも別に悲しいとか。過去に傷ついたとかが思い出された訳じゃなくて。  蒼紫が、そういう事に気付いて、言ってくれたって、ことと。  ――――……ああ、なんか。今まで色々我慢、してたけど。  もう、我慢、しなくていいんだ、と思ったら。  何だかすごく嬉しくなって。 「――――……でもオレ、そういう蒼紫と居て、嫌な時もあったけど、でもそうしながら色々考えて……諦めようともしたし……女の子と、頑張って付き合ってみたりしたけど……」 「――――……涼?」 「……そう言う事しても、結局蒼紫の事が一番だった……から……」 「――――……」 「だから、それはそれで、あって良かったんだよ」 「涼……」  言ってる内にますますそう思ってくる。 「もし一番最初にただ好きって言いあって付き合ってたら……女の子とも付き合ってみたかったなーとかさ……後からちょっと思ったかもしれないし。こんなに、色んな事してても、一番大事とか……思えなかったかも、しれないし」 「――――……」 「今、こうなれたのが、一番、良かったんだよ、きっと」 「本気で、そう思う?」 「んー……蒼紫は、そう思わない?」  そう聞いた所で、蒼紫に少し離されて。  顔を見つめられる。 「……思う」  すり、と頬に触れられて、撫でられる。  くすぐったくて、笑ってしまう。

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