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第38話◇

「幼稚園で会ってから、今まで――――……色んな事あって、今こうしてるって ……すごいと思うんだよね……」  オレが笑ってそう言うと、蒼紫は一度頷いてから。 「――――……このまま、死ぬまでいるから」 「……死ぬまで? ――――……うん。分かった」  蒼紫の言葉に、ふふ、と笑いながら頷くと。 「オレ、涼と居るために生きてるんだと思ってるから」  とか、言い出した。  ……なんか今すごいコト、言われた。 「……蒼紫、本気?」 「当たり前。すげー本気」 「――――……じゃあ、オレも、そういうことにする」  クスクス笑って言うと。 「オレふざけてないんだけどな」  ぶに、と頬をつねられる。 「オレも、別にふざけてないよ?」 「――――……そう?」 「うん」  頷くと、ちゅ、とまたキスされる。 「……じゃあ。とりあえず、生きる目的も決まったし。……寝よっか」  蒼紫がクスクス笑って、オレにそう言う。   「うん。寝よ。明日も朝から学校だね」 「2日続いていけるの珍しいよな……」 「うん……体育あるねー」 「ん、そうだな――――……ああ、オレ」 「ん?」 「涼のジャージ姿好き……」 「……うわー、マニアックだね」  思わず言ってしまうと、蒼紫がクスクス笑う。 「つか、制服姿も好きだし――――…… 衣装とかも何着てても好きなんだけど」 「…………」  ……そんな事言ったら、オレだって。  ていうか、オレの方が圧倒的に、蒼紫の事カッコイイと思ってるから、全部好きだけど。 「……何で黙ってンの?」 「――――……恥ずかしすぎるからです」 「何その喋り方」  クッと笑う蒼紫が、オレの後頭部をナデナデしてる。 「可愛いなー、涼」 「…………そろそろ溶けちゃうよ」 「溶けンの?」 「うん。ドロドロに……」 「――――……いいなあ、ドロドロ」 「え?」  何が?  蒼紫の腕の中から、顔を見上げると。 「――――……違う意味で、ドロドロにしたいなーと思って」 「?? ちがう意味って…………あ。もしかして……」  まさか、と蒼紫を見つめると。  蒼紫は、にや、と笑う。 「うん。エロイ意味」 「……っ……蒼紫くんが変態です。誰か助けてください……」 「はは、だから何その、たまに出てくる敬語」  離れようとしたオレを、むぎゅ、と抱き締め直して、蒼紫が笑う。 「また今度。ドロドロにしてあげるからなー」 「ドロドロはやだ」 「じゃあ何がいい?」 「……何がって……何がって何??」 「トロトロとか。トロントロンとか。ドロッドロ?」 「――――……っ蒼紫君がやっぱり変態なので、誰か助け……」  可笑しそうに笑った蒼紫の唇が、オレに重なって。  オレは、すぐ、蒼紫の整った顔、見つめながら。  瞳を伏せた。 「――――……」  変態な感じだったくせに、ものすごく優しいキス。ゆっくりと、舌が触れて。そして離れた。 「――――……こんな感じで、とろんとしてるのが、可愛いかなあ……」  蒼紫は、クス、と笑って、オレの頬を撫でて見つめてくる。  ほんと毎日どんだけ見慣れても。  ――――……強烈だなって思ってたけど。  こうなってからの蒼紫は、優しすぎて甘々すぎて、妖しいオーラ迄まとってるみたいで。  ドキドキしすぎて、もう、どう抗うことも、できる気がしない。

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