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第40話◇

「――――……」  手に触れてるものが、すごく暖かくて、すり寄った。  すり寄った瞬間、ちゃんと目が覚めて、それが蒼紫だって、分かった。  蒼紫って、あったかい……。  体温高いなあ……。  ――――……今まで、すごく近くでずっと過ごしてたけど。  これは、知らなかった。  蒼紫が、こんなに暖かいなんて。  こうなって、抱き締められるようになってから、初めて、知った。  ……幸せ、だなあ。  ……オレって、もしかして、これからずーっと、蒼紫とこうやって、過ごせるの? ふっとそんな事に気付いたら、何だかめちゃくちゃ嬉しくなってしまった。  あ、でもなあ。  と、ちょっと心配になる。  蒼紫が、オレのに触っても、気持ち悪いって思わないでくれたのは分かったし、ほっとしたけど。  ――――……まだ最後までしてない。  それがまだ、心に引っかかってる。  ……してみて、どうしても無理だったらどうするんだろうって。    ――――……好きは好きでも、抱きあうことが出来なかったら。  恋人同士では、居られないのかな。  実は、そこが、すごく心配。  「男同士」て事は、もう、こんなに長い事大好きだから、そんなとこはもう今更気にはしないんだけど。  問題は、体が……受け入れられなかったらどうしようとか。気持ちよくなくて、苦痛だったらほんとにどうしようとか。  ……蒼紫の方も、女の子の方がやっぱり良かったってなったら?   お互い大好きなのは、もう今は分かって、幸せなんだけど。  体がだめだったら、どうするんだろう。  顔と性格と一緒に居るのが大好きでも、抱き合うことが出来なかったら……??  他の人としちゃうのかな。  そしたら、こんな風に、抱き合って眠るとかもなくなって……。  ……え。めちゃくちゃいやだ。  じわ。と涙が浮かんできてしまった。  ぐす。  息をしようとしたら、鼻が少し音を立てて。  あ。やばい。……トイレ行こう。  そーっと蒼紫の腕の中から抜け出そうとしたら。  ぐい、と掴まれて、引き戻されて。蒼紫に組み敷かれた。 「……涼? 何……風邪ひいた? 寒かった?」  眠そうな声で、蒼紫が言いながらぎゅーと抱き締めてきて。  少ししてから、顔を上げて、オレの顔を見た。 「――――……? 泣いてンの?」 「泣いてないよ……あ、くび……」  蒼紫は、はー、とため息を付いた。 「オレ、お前の嘘、100%分かる気がする……」  蒼紫の指がオレの涙を拭き取った。 「何考えた? 嘘つくんだから、オレの事だろ?」 「……」 「――――……言ってみな」  まっすぐにじっと見つめられる。  心配そうに少し寄る眉。   そんな風に心配そうに見つめてくれると。  胸が、締め付けられるみたいな感覚が、沸き起こる。  ああ。大好きすぎて。  ……やっぱりどうしよう、出来なかったら。  うう。 「ああ、何? ウルウルしてねーで話せよ、もう……」  むぎゅ、と抱き締められてしまう。 「なんなの、お前。可愛いんだけど……」  はー、とため息を付かれてしまう。  手は、頭をずっとナデナデしてくれてる。

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