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第43話◇
「――――……」
今日は、バスケ。
うーん。蒼紫。カッコいい。運動ほんと、なんでもできるな……。
体育館の壁に寄っかかって、同じチームの奴らと話しながら、目の前の試合を見る。オレは、蒼紫を目で追ってるけど。まあ。気づかれない程度に。
というか。蒼紫がボールを持ってる時間が長いから、蒼紫を見てても、全然不自然じゃないのが、すごい。
カッコいーなぁ。
となりのコートに居る女子が、きゃあきゃあ言いながら、蒼紫を応援してる。
このクラス、イケメン多いし。女子もアイドルとかモデルとか、たくさんいて、早い話、外見の偏差値が高い奴ばっかりが居るのに。
そん中でも、蒼紫はダントツでモテる。
……まあ。
蒼紫を好きになってしまう気持ちは。
――――……嫌という程、気持ち、わかるけど。
人目が無かったら、オレだって、「蒼紫カッコいー頑張ってー」と、叫びたい気分だもん。いや、オレがそんな事言ったらキモイから、やらないけどさ。
ぴぴー、と先生の笛が鳴って、蒼紫の出番、終わり。
まっすぐ、オレのとこにきて、オレの隣に座った。
「おかえり」
「ただいま」
走ってた息を、ふー、と整えてる。
……なんか、それだけで絵になるとか。
すごすぎます。はい。
なんて、心の中で思いながら。
「――――……女の子たち、すごい、キャーキャー言ってたね」
そう言ったら。
「……お前が言ってくれればいーのに」
蒼紫とは逆側に、チームの皆は居るので、そこに聞こえないように、こそ、と囁かれる。
「……オレが言ったらおかしいでしょ」
「なんで? 可愛いけど」
「無い。絶対無い」
「蒼紫―かっこいーっ!て、今度言って。どんな技でもできそうな気がする」
「――――……何、どんな技って」
クスクス笑ってしまう。
「ダンクとか、決めちゃうかも」
「――――……できんの?」
「涼の歓声があればできるかも」
冗談なんだろうか。本気なのかな。
分からない。
でもなんか、出来そうな気がするから、すごい。
なんて思ってたら、可笑しくなってきて、笑ってしまった。
「でもオレ、キャーキャーは無理だよ」
「んー、じゃあ、次の試合でさー――――……オレが3ポイント決めたら、涼がキスしてくれるっていうのはどう?」
また囁かれて、まじまじ蒼紫を見つめる。
「でも、なんか蒼紫、中学ん時、3ポイント決めてた気がするんだけど」
「でもしばらくやってねーから。それでもし出来たら。――――……そしたら、すげー頑張ってくるけど」
「んー。いいよ、じゃあ、する」
蒼紫、ふ、と嬉しそうに笑う。
――――……ていうか。
キス。してるのに。普通に。
そんな条件とか無くても、するのに。
と思うのだけど。
何だかすごく嬉しそうにオレを見つめる蒼紫がちょっと可愛くて。
ふ、と笑んでしまう。
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