43 / 62

第43話◇

「――――……」  今日は、バスケ。  うーん。蒼紫。カッコいい。運動ほんと、なんでもできるな……。  体育館の壁に寄っかかって、同じチームの奴らと話しながら、目の前の試合を見る。オレは、蒼紫を目で追ってるけど。まあ。気づかれない程度に。  というか。蒼紫がボールを持ってる時間が長いから、蒼紫を見てても、全然不自然じゃないのが、すごい。  カッコいーなぁ。  となりのコートに居る女子が、きゃあきゃあ言いながら、蒼紫を応援してる。  このクラス、イケメン多いし。女子もアイドルとかモデルとか、たくさんいて、早い話、外見の偏差値が高い奴ばっかりが居るのに。  そん中でも、蒼紫はダントツでモテる。  ……まあ。  蒼紫を好きになってしまう気持ちは。  ――――……嫌という程、気持ち、わかるけど。  人目が無かったら、オレだって、「蒼紫カッコいー頑張ってー」と、叫びたい気分だもん。いや、オレがそんな事言ったらキモイから、やらないけどさ。  ぴぴー、と先生の笛が鳴って、蒼紫の出番、終わり。  まっすぐ、オレのとこにきて、オレの隣に座った。 「おかえり」 「ただいま」  走ってた息を、ふー、と整えてる。  ……なんか、それだけで絵になるとか。  すごすぎます。はい。  なんて、心の中で思いながら。 「――――……女の子たち、すごい、キャーキャー言ってたね」  そう言ったら。 「……お前が言ってくれればいーのに」  蒼紫とは逆側に、チームの皆は居るので、そこに聞こえないように、こそ、と囁かれる。 「……オレが言ったらおかしいでしょ」 「なんで? 可愛いけど」 「無い。絶対無い」 「蒼紫―かっこいーっ!て、今度言って。どんな技でもできそうな気がする」 「――――……何、どんな技って」  クスクス笑ってしまう。 「ダンクとか、決めちゃうかも」 「――――……できんの?」 「涼の歓声があればできるかも」  冗談なんだろうか。本気なのかな。  分からない。  でもなんか、出来そうな気がするから、すごい。  なんて思ってたら、可笑しくなってきて、笑ってしまった。 「でもオレ、キャーキャーは無理だよ」 「んー、じゃあ、次の試合でさー――――……オレが3ポイント決めたら、涼がキスしてくれるっていうのはどう?」  また囁かれて、まじまじ蒼紫を見つめる。 「でも、なんか蒼紫、中学ん時、3ポイント決めてた気がするんだけど」 「でもしばらくやってねーから。それでもし出来たら。――――……そしたら、すげー頑張ってくるけど」 「んー。いいよ、じゃあ、する」  蒼紫、ふ、と嬉しそうに笑う。  ――――……ていうか。  キス。してるのに。普通に。  そんな条件とか無くても、するのに。  と思うのだけど。  何だかすごく嬉しそうにオレを見つめる蒼紫がちょっと可愛くて。  ふ、と笑んでしまう。    

ともだちにシェアしよう!