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第45話◇
ゲームを終えると、蒼紫がオレの側に走ってきて、隣に座った。
首にかけてたタオルを取られて、蒼紫が汗、拭いてる。
蒼紫が使って、オレが使ったタオル……とか。
そんなところで、ちょっとトキメク。アホなオレ……。
「ちゃんと決めたろ?」
それはそれは、鮮やかに笑うので。もう。うん、としか言えない。
どーしてそんなにカッコ良いのかなあ。
ただでさえ、見た目だけだって、ダントツなのに。
中身も、やる事も、言う事も、全部カッコいいとかさ。
むー。ずるいんだよね。
「約束守れよ?」
蒼紫がじぃっと、オレを見つめる。
――――……オレからキスする約束。
……ていうか。そんなの。
約束しなくたって、するし。
……むしろしたいし。
なのに。
「オレ、その為にあれ決めたんだからな」
とか言って、めちゃくちゃ楽しそうに笑う。
もうさ。なんていうのかなぁ。
――――……好き。しか、出てこない。
「ほんとは、今すぐが良いんだけどな」
からかうみたいな言い方で言って、オレを見つめる。
……全国の蒼紫ファン。……の中でも、筆頭の蒼紫のファンは、オレだと、自分で思っている位なので。ほんと心臓に悪い、もう。
「蒼紫」
「んー?」
「なんかかっこよすぎてさ」
「ん?」
「女の子達が、悲鳴あげてたよ?」
「ああ。……聞こえたような」
苦笑いしながら。
「でもオレ、シュート決めた後、お前しか見てなかったしな」
こそ、と囁かれる。
……確かに。カッコよくシュートした後、まっすぐオレの事見てたけど。
女の子の歓声なんて、関係なさそうな。
……ていうか、歓声、いつも浴びまくってるもんね。そりゃそうか。
まあ。その歓声は、オレも一緒に浴びてるけど。
オレは、いまだに、夢の中に居るみたいな感覚で、それを受けてるから。
小さい頃からそこ目指してきた蒼紫とは、全然覚悟とかも違うし。
……何で、オレの事好きなんだろ。
こんなカッコいいのに。
どんな人でも、絶対蒼紫、好きになると思うのにな。
不思議。
「――――……?」
蒼紫は、じっと見つめてるオレを、少し不思議そうに見返して。
それから、ふ、と優しく目を細めた。
――――……っ。
蒼紫は。
オレを好きって認めてくれてから。
いっつもこんな風に、優しく見つめて笑う。
今までは、むしろ、逸らされてたというか。
こんな風にじっと見つめ合うことが無かったのは。
好きって、ばれないように、してたのかなとしか、思えなくて。
――――……何でオレを好きなのかなとは、思うんだけど。
他にいっぱい素敵な人いると思うのに、と、思ってしまうんだけど。
こんな風に見られると。
理由は分かんないけど、オレの事を好きでいてくれてる、のは。
もう、本当に、すごく、分かる。……気がする。
もうオレに隠す事なく、ずっと近くに。ずっと見つめられて。笑まれて。
二人になったら、触れられてキスされて。
オレの蒼紫への気持ちが、際限なく、どんどんふくれてく気がする。
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