45 / 62

第45話◇

 ゲームを終えると、蒼紫がオレの側に走ってきて、隣に座った。  首にかけてたタオルを取られて、蒼紫が汗、拭いてる。  蒼紫が使って、オレが使ったタオル……とか。  そんなところで、ちょっとトキメク。アホなオレ……。 「ちゃんと決めたろ?」  それはそれは、鮮やかに笑うので。もう。うん、としか言えない。  どーしてそんなにカッコ良いのかなあ。  ただでさえ、見た目だけだって、ダントツなのに。  中身も、やる事も、言う事も、全部カッコいいとかさ。  むー。ずるいんだよね。 「約束守れよ?」  蒼紫がじぃっと、オレを見つめる。  ――――……オレからキスする約束。  ……ていうか。そんなの。  約束しなくたって、するし。  ……むしろしたいし。  なのに。 「オレ、その為にあれ決めたんだからな」  とか言って、めちゃくちゃ楽しそうに笑う。  もうさ。なんていうのかなぁ。  ――――……好き。しか、出てこない。 「ほんとは、今すぐが良いんだけどな」  からかうみたいな言い方で言って、オレを見つめる。  ……全国の蒼紫ファン。……の中でも、筆頭の蒼紫のファンは、オレだと、自分で思っている位なので。ほんと心臓に悪い、もう。 「蒼紫」 「んー?」 「なんかかっこよすぎてさ」 「ん?」 「女の子達が、悲鳴あげてたよ?」 「ああ。……聞こえたような」  苦笑いしながら。 「でもオレ、シュート決めた後、お前しか見てなかったしな」  こそ、と囁かれる。  ……確かに。カッコよくシュートした後、まっすぐオレの事見てたけど。  女の子の歓声なんて、関係なさそうな。  ……ていうか、歓声、いつも浴びまくってるもんね。そりゃそうか。  まあ。その歓声は、オレも一緒に浴びてるけど。  オレは、いまだに、夢の中に居るみたいな感覚で、それを受けてるから。  小さい頃からそこ目指してきた蒼紫とは、全然覚悟とかも違うし。  ……何で、オレの事好きなんだろ。  こんなカッコいいのに。  どんな人でも、絶対蒼紫、好きになると思うのにな。  不思議。 「――――……?」  蒼紫は、じっと見つめてるオレを、少し不思議そうに見返して。  それから、ふ、と優しく目を細めた。  ――――……っ。  蒼紫は。  オレを好きって認めてくれてから。  いっつもこんな風に、優しく見つめて笑う。   今までは、むしろ、逸らされてたというか。  こんな風にじっと見つめ合うことが無かったのは。  好きって、ばれないように、してたのかなとしか、思えなくて。  ――――……何でオレを好きなのかなとは、思うんだけど。  他にいっぱい素敵な人いると思うのに、と、思ってしまうんだけど。  こんな風に見られると。  理由は分かんないけど、オレの事を好きでいてくれてる、のは。  もう、本当に、すごく、分かる。……気がする。  もうオレに隠す事なく、ずっと近くに。ずっと見つめられて。笑まれて。  二人になったら、触れられてキスされて。  オレの蒼紫への気持ちが、際限なく、どんどんふくれてく気がする。

ともだちにシェアしよう!