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第59話◇大変

「……ん……」 「――――……これ、気持ちいい?」 「……くすぐったい……」 「くすぐったいなら、感じはするってことだよな……」  そんなこと言いながら、めちゃくゃしつこく、ずーっと、乳首をいじってる蒼紫に、顔を上げればまた唇を塞がれる。  キスだけだって、ポワポワして大変なのに。  ……ずっと胸、触られてると、なんだかモゾモソ、してくるような……。 「……ん、ン……」 「――――……気持ちよく、なってきた気がする?」  唇を少し離して、間でそんな風に、聞いてくる。 「……ん……なんか……ゾクって、する……」 「ふうん……可愛い」  何回、可愛いって言うんだろう。  思いながら目の前の蒼紫を見つめていると、蒼紫はぺろ、と舌を出した。 「なめていい?」 「……?」  何を? え。あ、まさか――――……。  思った瞬間、ば、と服をめくられる。 「なんかさぁ。……涼の乳首って……色薄いよな……」 「え……な、なんか、変?」 「ピンクって感じ。……可愛すぎ……」  小さい明りだけど、もう目が慣れてきてて、普通に見えてしまうのが、めちゃくちゃ恥ずかしい。 「ちょっと、はい、これ握ってて?」 「え」  めくられたオレの服を、両手で持たされて、そう言われる。  首の所でぎゅ、と握りしめると、蒼紫の左手が胸に触れて。もう片方は、蒼紫の口で、なめられた。 「……っひゃ……!」  勝手に悲鳴が上がって、ぎゅう、と服を握り締めてしまう。 「……声、やば」 「っぁ……!……や、だ、しゃべんない、でよっ……」 「っ……涼がしゃべんなよ、もう……」  なんか切羽詰まったみたいな声で蒼紫が言う。  片方を甘く噛まれて、びく!と震えると、すぐそこから離れて、唇が重なってきて、深く深くキスされた。 「……ん、ん……っ……」  キス、激しすぎて、胸を弄る手も止まらないし。  頭、くらくらしてきた。 「……あお、し……なんか……死にそう……」 「――――……」  心臓、バクバクしてて苦しいし、キスで息できないし、胸触られすぎてゾクゾクしすぎるし。  思わず言ったら、蒼紫は、ぴたっと動きを止めて。 「……涼……んー……死にそうなの?……」 「……うん」  もうどうしててたらいいのかも分からなくて、蒼紫をじっと見つめる。  涙が潤みすぎてて、どうしても蒼紫が滲むけど。 「…………」  真正面からオレを見つめてた蒼紫は、不意に、ふっと笑んで、ちゅ、と頬にキスしてきた。 「なんでそんな可愛いかな……すげー好き……」  こっちのセリフなんだけど。  ……なんでそんなにカッコいいのかな。  もうほんと。それで、そんなに甘いことばっかり言って、キスしてばっかりしてきてさ……。  正直なとこ、ほんとに好きすぎて、嬉しすぎるけど、でもその分、恥ずかしすぎて、ほんとにどうしてたらいいか、分からない。  なんかもう、オレ、今までもずっとずっと、蒼紫を世界一カッコいいと思ってきたけど。オレにこうしてる時の……今までは見れなかった、男っぽい蒼紫のことが、息が止まりそうなくらいカッコいいと思ってしまう。  そんな人と、一番恥ずかしいと思うことするとか。  恥ずかしい顔見せるとか。声聞かせるとか。  すごい大変なことだよなって、思ってしまう。

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