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第60話◇口から。 ※

 オレ、これ、蒼紫と最後までなんてしたら、死んじゃう気がするんだけど、マジで、どうしたら……。 「……涼に負担が大きそうだから」 「?」 「今日はもう終わりにしてあげる」 「いいの?」 「……イッたらな」 「え。……っあ……!」  首筋に、ちゅ、とキスされて舐められて、びくん、と震えたオレの下半身に、蒼紫の手が触れる。 「……ぁ、ゃ……っ」  一気に頭に血が上って、熱くなって。喘ぐのを我慢している間に、どんどん激しくなっていって、最後はまた、蒼紫のとくっつけられて、もう、何されてるのかも良くわかんない位真っ白になっていって。  奪われるみたいなキスをされてる間に、イっちゃうと……息も絶え絶えなオレに、蒼紫がずっと優しくキスしてくる。 「……ん、ん……っふ……」  下、吐き出したことで、少し楽になって。  蒼紫の舌に、一生懸命応えていると、蒼紫が、ふ、と笑った。 「……涼、すぐイっちゃうよな……」 「……っ」 「まあオレもだけど。……あー可愛い」  ちゅ、と頬にキスしながら言って、蒼紫はオレを見つめた。 「拭くより、シャワー浴びた方が早いかも。いこ?」  手を取られて、一緒にバスルームまで歩く。  正直、まだ全裸になって蒼紫の前に立つのは、抵抗しかないけど。  だって、恥ずかしいし。 「洗うのは体だけでいいよな」 「ん」  あったかいシャワーを浴びせられて、気持ちいいなあと思ってると。  泡立てたボディスポンジで、さらさらと体をなぞられる。  体を洗われるって、ものすごく恥ずかしいのだけど、抵抗する間もなく、ほんとにざっと洗われて、そのまま自分も洗った蒼紫はまたオレにシャワーをかける。二人とも泡が流れ落ちた頃、シャワーヘッドをフックにかけて、お湯を出したまま。 「わ」  むぎゅっ、と抱き締められた。  全裸で。  肌、密着して、ぎゅーっと抱き締められるって。  死ぬけど、オレ……。  心臓が、バクバクしてて、口から出そうって、こういう時に使うんだって、実感。  マジで、どうしよう、少なくとも、あと少しで、倒れる……。  と、思っていたその時。 「すっげードキドキして、死にそう」 「え」 「……何?」 「蒼紫も?」 「もって? 涼もそう思ってた?」  クスクス笑いながら、蒼紫がオレを見下ろしてくる。 「思ってた。今。心臓が口から出そうって」  そう言うと、蒼紫はふ、と笑って、オレの頬にキスをした。 「オレ、出てない?」 「……出ては、ないと思う」  ぷ、と笑いながら、オレが答えると。 「そうかなあ? 出てる気がするんだけど」 「怖いよ、それ」  蒼紫が真剣に言うから、思わずそう言うと。 「……まあそれくらい、ドキドキするってこと」 「――――……じゃあ、一緒だね……」  見つめ合うと、ほんとに好きだと、思う。  蒼紫のまっすぐな瞳が、ほんとに好きで。  こんな風にしていられるのが、今でも信じられない。  

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