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第62話◇外では禁止。
「……涼」
クスクス笑った蒼紫に、「可愛すぎ」と抱き締められる。
何だかすごく、幸せだなーと思って、オレは、すっぽりその腕の中に納まっていたのだけれど。
……少し、気になってることを、蒼紫に言ってみることにした。
「……あのね、蒼紫。オレ、少し気になってることがあって」
「うん。何?」
「オレ、ずっとこのまま、蒼紫と一緒に仕事したいんだ」
「うん。オレもだけど?」
「だからね……誰にも変に思われたりしないで……あと、邪魔もされないで、一緒に居たいんだよ」
「……うん?」
蒼紫が、そっとオレを腕の中から解いて、顔を見つめてくる。
「だから?」
「だからね、外で、キスしたりすんの、やめない?」
「――――……」
「……バレたら、困るでしょ? キスしたり、抱き締めたりするのはさ、帰ってからがいいかなって」
「…………」
あ。……完全に、黙った。
「あの……だってさ、今ってさ……監視カメラとかさ、そういうのいっぱいあるみたいだしさ。嫌でしょ、映ったら……」
「別に嫌でもないけど。涼がオレのだって、伝わるし」
「……冗談じゃなくてー」
「……本気だけど」
「本気だとちょっと困る……」
むむむ。と蒼紫をちょっと睨むと。
蒼紫は苦笑いを浮かべて、ふー、とオレを見つめた。
「……どうしても、嫌?」
「嫌なんじゃなくて……仕事に影響出たら、困るって話だよ」
「分かってんだけど……涼はオレとキスしたくねえの?」
「……したいに決まってるじゃん」
むー、と困って蒼紫を見つめると。
「……じゃあ……なるべく、減らすから」
「減らす……じゃなくてー」
「……じゃあ、キスはしない。どうしても触りたくなったら、軽く抱き締めるだけならいい?」
「――――……うん。それくらいなら大丈夫かな?」
それくらいなら、写真撮られても、見られても、まあ、仲良しだなくらいで、済むかな。
「じゃあ、キスは、我慢でいい……?」
「……分かった。まあ……オレも、ずっと涼とやってたいから。問題は起きないようにとは、思う」
「ん。ありがと」
言うと、ぎゅー、とまた抱き寄せられる。
「……外では我慢するからさ、涼」
「ん?」
「……早く、オレのものになって」
「――――……」
「最後まで、しよ?」
「……いいよって、言ってるじゃん……お休みの時にって」
「……つか、オレ達、何でこんなに休みねーの。訴えるか、もう」
蒼紫が冗談ぽく言って、ため息をつく。
「……帰ってきたら、ずっとキスしてもいい?」
「ずっと??」
「ずっと」
「……えーと……ずっと……うん、まあ……いいけど」
困りながら言うと、蒼紫はクッと笑い出した。
「いいとか言っちゃうと、ほんとにずっとキスするぞ?」
「……いいよ」
「……じゃあ、ほんとにずっとしよっかな……」
クスクス笑う蒼紫に、顎をとられて、そのまま、ちゅ、とキスされた。
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