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最終話:嘘と本当。***(1)
やって来たのはユーリアンの乳母が住む家。ここなら安全だと人攫いに蹴られた腹部の手当てを受け、ユーリアンと2人きりになったオレはすべてを打ち明けた。
「つまり君は借金の肩代わりを条件にイリスと偽って花嫁候補を退こうとしたのか」
――そう。初めは。
だけど自分でも気づかないうちにユーリアンの存在が大きく膨れ上がっていった。
「ならば舞踏会を抜け出して俺と会ったのはなぜだ?」
どうして?
なんでそんなことを聞くの?
言えない。
この恋は秘密。
知られれば軽蔑される。
だけど、恋心を打ち明けたら、そうすればこの恋を諦められる?
でも嫌われたくない。
ユーリアンの側にいたい。
胸が張り裂けそうだ。
苦しいよ。
オレは泣くまいと唇を噛みしめて俯く。
「だんまり、か」
ユーリアンのため息が聞こえて、オレの体がますます強張った。
「ならば質問を変えよう。人攫いに扮した俺に泣き縋ったのはなぜだ?」
「――っ!」
ダメだ!
言い訳が思い付かない!
これじゃ、ユーリアンが好きなんだってバレる。
軽蔑される!
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