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第1話:やっぱムリッ!***(2)
――とまあ、イリスの身代わり探しが始まったんだけど、なかなか見つからない。
それがイリスって性格は最悪なのに容姿だけは飛び抜けて良いんだ。
年は18。細身で波打つ腰までの金髪。身長160センチ。翡翠色の目に色白で小さな鼻と赤い唇。お伽噺に出てくるヒロインのような容姿。
そんなの見つかるわけがない。
って思っていたら。まさかオレのところにその話が来るなんて。それはブルターニュ伯爵の従者が靴磨きをしに来た時だった。オレとイリスがそっくりなんだって。
冗談じゃない。たしかに、痩せっぽっちでチビだよオレは! だけどオレは男。ワガママ令嬢イリスに似てるって罰ゲームかよ!
とはいうものの、『母親の薬代やたまった借金を全部肩代わりする』なんて言われたら誰だって頷いちゃうよな。
そんなわけでオレ、靴磨き屋のフィオンはイリス・ブルターニュとして赤いドレスを着て、ひとりだだっ広い部屋の一室にいる。
……だけどさ。
歩くとカサカサ鳴るドレスは足首まであって動きにくいったらない。金色のウィッグも開いた背中に当たってチクチクするし、しかも踵の高い靴!
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