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第2話:恋の終わり。***(3)
ユーリアンが殺されてしまう!
焦ったオレは近くの人攫いに泣いて縋りついた。
「お願い、こんなのやめて! ユーリアンの命だけはっ!」
オレの命なんてどうでもいい。
ユーリアンさえ無事ならそれでいい。
だから!
「あの人は死んじゃいけないんだ!」
「笑える。このお嬢ちゃん、王子にベタ惚れじゃねぇかよ」
惚れ、る?
ああ、そうか。
オレ。ユーリアンを好きになったんだ。
胸が弾んだのも、抱きしめられても少しも嫌じゃなかったのも――。
最初から、一目惚れだったのかもしれない。
オレの初恋。
「ユーリアン……」
どうしよう。オレのせいだ。
ユーリアンと会わなければこんなことにならなかったのにっ!
「大丈夫だ。俺はそう簡単にやられない」
絶望に暮れる中、オレが縋りついた男はそう言った。
俺は?
それにこの声って……。
「ユーリ、アン?」
瞬きすれば、残りの涙がポタポタと落ちた。
「なっ! ユーリアンだと!?」
「迂闊だったな。お前達の仲間は捕らえた。裏で糸を引いている人間が誰なのかも白状してくれたよ」
ユーリアンがフードを下ろす。そうかと思えば瞬きする間もなく男達が倒れていた。相手が何人いたって関係なくて……。すごく強かったんだ。
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