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続 3 : 14 *

 すぐに僕たちは、文一郎が暮らすアパートの一室へと向かう。 「ちょっと、先輩。床でするのが好きかと思いきや、今度は玄関でするんですか? どれだけ残念なせっかちさんなんですか、アンタって人は」 「むしろ職場で手を出さなかった僕を褒めてほしいよ。……文一郎、僕を褒めて?」 「……っ。……それは、まぁ。我慢しましたね、偉いですよ」 「ふふっ。今日の文一郎、僕に凄く優しい」  靴も脱がずに、僕は目の前にいる文一郎に抱き着く。  玄関扉を閉めて、鍵も閉めた。ならば後は寝室へ向かうだけなのだが、今日も今日とて僕には余裕がない。……いつも以上に。 「先輩っ、待って、やめ……っ」 「無理。ここでシよう、文一郎」 「ん、ッ。耳元でいい声を出せばいいとか思っているでしょう、まったく」 「そんなこと思っていないつもりだけど、そもそもいい声だったかな? ……そうなのだとしたら、嬉しいな」 「はっ、ん、っ」  文一郎の腰からベルトを引き抜き、すぐに文一郎が穿いているスラックスを下ろす。  下半身を下着姿にされた文一郎はうっすらと耳を赤くした気がするけど、どうだろう。外は寒かったから、そういうことかもしれないなぁ。指摘したらきっと、文一郎ならそう答えるだろうし。 「男物の下着にここまで大興奮する日が来るなんて、自分自身にビックリだよ」 「そんな酷い告白を受けたこっちこそ驚愕ですよ、このドヘンタイ」 「って言いながらも、文一郎は下着の中でナニをどうしちゃっているのかなぁ~っ?」 「この、ドヘンタイ……ッ」  少し下着の上から撫でただけで、文一郎の逸物は反応を返してくれる。 「可愛いなぁ、文一郎の文一郎」 「最低な発言だ……ッ」 「勿論、文一郎も可愛いよ」 「なにが悲しくて彼氏様から『男性器と同レベルで可愛いよ』って言われなくちゃならないんですか」 「同レベルじゃないよっ! 文一郎の方が断然可愛いっ!」 「あんまり大きな声出さないでください。通行人がいたら、聞こえちゃいます」  文一郎はツンとした態度のままだけれど、本気で抵抗はしていない。彼から僕に触れることができないというハンディキャップも関係しているかもしれないけれど、それにしたって抵抗が皆無だ。 「は、ぅ……っ」 「勃ってきたね。気持ちいい?」 「急所を撫でられれば、誰だって──く、ッ」  態度はつれないけど、それでも文一郎は抵抗しない。下着ごと逸物を扱いても、プルプルと震えるだけ。……むしろ、僕の手が動かしやすいようにと、自ら脚を開いてくれたくらいだ。 「んっ。……ふ、っ」 「お尻、触ってもいい? ……って、訊かれるのは嫌なんだよね。触りたいから、触るよ」 「あっ、ふ……ッ」  文一郎の体に添えていただけの手を動かし、文一郎のお尻へと滑らせる。  そのまま膨らみを堪能しつつ、僕は笑う。 「文一郎の体って、薄いけど僕は好きだなぁ。肉付きのあまりないお尻とか、ずっと触っていたくなる」 「言い逃れできないレベルでのセクハラ行為じゃないですか……っ」 「君となら痴漢プレイにも興味があるよ」 「……お馬鹿さんめ」  悪態を吐く文一郎の後孔に、つぷ、と。指を一本、差し込む。  そうすると文一郎はすぐに肩を跳ねさせて、そのままゆっくりと息を吐いた。

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