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オマケ 3【先ずは好きだと聴いてくれ】 1
※続 最終章【先ずは好きだと言ってくれないかな(牛丸視点)】の後日談です。
時は流れ、クリスマスという浮かれまくったイベントを終えて、数日後。
「──と言うわけで! 大忘年会の開催だ~っ!」
とある居酒屋にて、俺たちは【列席者、四人】という、なんとも小規模な大忘年会を始めていた。
座っているのは俺と、その隣に先輩と。俺の正面には兎田主任が居て、先輩の正面には今しがた号令を発した幸三という、四人の図。……『それ以外ありえないだろう』だって? やめろ、俺たちを仲良し集団みたいな扱いしないでくれ。……ぼっちの集まり、みたいな扱いはもっとやめてくれよ。
そもそも、なぜこのメンバーが社内ではなく居酒屋で集まっているのか。事の経緯と言う名の回想を挟もう。
それは、数十分前の事務所で起こったことだ。
『──ユキミツを飲みに誘ったら、いきなり二人は緊張するとかなんとかほざきやがった。だから、今から俺様たちと飲みに行くぞ』
『『──えっ』』
回想、終了。……横暴だ。
しかし当の引き金──もとい、幸三はとってもご機嫌だった。なんだかんだ幸三は、こういう会が好きだからな。
痴話喧嘩に巻き込まれるのは御免だが、まぁこのメンバーなら気を遣わなくてもいいだろう。兎田主任の容赦ない先輩虐めにさえ注意しておけば、問題はないはずだ。
「それにしても、意外だったなぁ。兎田君が誰かを飲みに誘うなんてさ」
「【誰か】じゃなくて【ユキミツ】だ。正直、テメェはお呼びじゃねぇんだよ。黙ってろ」
「えぇっ! 強制連行しておいてそんなこと言うのっ?」
「なにか勘違いしてねぇか? 俺様が声をかけたのはネズミ野郎だけだぞ」
「うわんっ!」
おうっふ。兎田主任が『ウシの顔を見ながらメシなんて食えるかよ。俺様の正面にはネズミ野郎が座れ』とか言ったからこの席順になったのだが、あんまりである。兎田主任、本気で先輩のことが嫌いなんだな。
シクシクと泣き出す先輩の背を撫でると、すぐに先輩は俺の両手をガッシリと握った。
「いいよっ、意地悪を言う兎田君なんて放っておくからねっ! 僕たちは二人で楽しもう、子日君っ!」
「なるほどな。つまりこれは【ダブルデート】ってやつか」
「「──違います!」」
「竹虎君だけならまだしも、どうして子日君まで全力で否定するのっ!」
どこか愉快気に笑う兎田主任に対し、俺と幸三は全力の拒否。前にも心の中で言ったが、そんな恥ずかしいことを俺はしたくないのだ。
兎田主任への気持ちを強引に保留状態としている幸三も、さすがに【デート】という単語は恥ずかしいようだ。
「そっ、それよりもっ! 食べるものとかちゃちゃっと決めちゃいましょうよ! オレら、まだ飲み物しか頼んでないですし! ほら、ブン! なにがいいんだっ?」
「いや、俺よりも先に先輩たちから──」
「は? オイ、ユキミツ。なんで真っ先にボクじゃなくネズミ野郎を選ぶんだよ。アイツらが二人で乳繰り合うなら、残ったユキミツはボクを選べよ」
「そうだよ竹虎君っ! 君には兎田君がいるんだから、僕の子日君に色目を使わないでよねっ! まったく、油断も隙もないなぁ」
「「──めっ、めんどくせぇ……っ!」」
なんだこの、地獄みたいな状況は。隣の先輩は未だに俺の手を離さないし、兎田主任は幸三にベッタリとくっついているではないか。キツイ、この絵面はキツイぞ。なぜなら俺たちは全員、成人男性だからだ。むさくるしいことこの上ないぞ、本気で。
前途多難な小希望大忘年会、開催。後輩コンビである俺と幸三は、初めからライフゼロスタートとなった。
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