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「お昼寝タイム」

……むにゃむにゃ。 気付くと、そんな形容がぴったりはまるような寝顔で 雅己が眠っていた。 しばらく見つめた後。 くすくす笑ってしまう。 ……可愛ぇ。ほんまに。 可愛すぎやねんなぁ、ほんまにもう。 ぷに。雅己の横になっているソファのすぐ下に跪き、ほっぺに触れてみる。 「……」 すぴー。ちっとも起きる気配、なし。 可愛ぇ。ぷにぷに。ほっぺを 人差し指でつんつんとつつく。 「……ん…………」 さも不快そうに、雅己が眉を寄せて、ころん、と向きを変えた。 「……」 くすくすくす。 笑いを噛み殺しながら。更に身を乗りだし、背を向いてしまった雅己を覗き込む。 ちゅ。ほっぺにキス。額にもキス。 「……んーんー…… ぅ……」 嫌そうに顔を動かして逃げようとしてる、その様が可愛くて。 ぎゅうっと抱き締めてしまおうかと思ったその時。 くしゅん!  雅己が小さくくしゃみをした。 さらにもう一回。 「……ん……」 心なしか 身体を丸めた雅己。それでも眠ろうとしている。そういえば、昨夜、眠らせてやらなかった事をふと思い出す。 「――――……」 抱き締めるのはやめて、立ち上がった。自分の部屋に行き、毛布を一枚引き剥がし、雅己の元に戻って、ふわ、と、雅己の身体をくるんでやった。 「……」 あんま可愛ぇし…… 起こさんと、寝かしといたるわ。 雅己の寝顔を見つめて、ふと微笑むと、そこを離れようとした。 「……すけ……」 「――――?」 小さく呼ばれた気がして、振り返ると。 「……ったけー……ありがと ……」 ぽそと呟いた雅己は、顔を覗き込んだ時には、もう完全に眠っていた。自分の中に浮かんだ、この上なく優しい気持ちにまた微笑む。 『――――……どーいたしまして』 目ぇ覚ましたら。 あったかい 紅茶でも 飲ましたろ。 可愛すぎる恋人に、クスクス笑いながら。その髪をそっとそっと撫でると、そこを離れた。

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