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第5話

「じゃあ、俺こっちだから・・・」 忍は自分のクラスへ行こうとした時、彗がにっこり笑って首を横へ振って、嫌な予感に足を止めた。 「忍、違うよ?忍は俺と同じ1組。校長に言って同じクラスにして貰ったから」 「…………そうなんだ」 絶望の宣告に忍は目を伏せて頷く。 見事に嫌な予感が的中した。塞ぐ気持ちを押し殺し、忍ら彗と同じ1組の教室へと入った。 「忍の席は俺の隣だよ」 嬉しそうに案内された席は窓際の一番後ろの席だった。 今までとは違うクラスメイトの視線に忍は居心地の悪さを感じながらも案内された席に着いた。 「なんで同じクラスにして貰ったの?」 学校で彗と少しでも離れられると期待していた分、忍は残念で仕方なかった。 聞いても仕方ない質問だが、どうしても腑に落ちない。 「え?一緒じゃない方がおかしいだろ?今までずっと一緒だったのにさぁ〜。本当、ここの校長、気が利かないよね?」 「………」 「忍には俺だけでいいのに」 「………」 「忍も以外、必要ないだろ?」 机をガタガタとくっつけて彗は黙る忍の顎を掴んで自分へ向かせた。 聞き方と声こそ優しいものの、男の目は冷たい。 忍の返答次第では恐らく声色も冷たくなると察し、忍はゴクリと唾を飲み込み、慎重に言葉を選んだ。 「うん。……俺は彗だけでいい。でも、彗は俺以外とも仲の良い友達作った方がいいと思う……」 「………」 黙って見下ろしてくる男に自分の答えが正しかったのか忍は不安になった。 「俺に離れろって事?」 駄目だ… 失敗した…… 拳を握りしめ、忍は何とか立て直そうと笑顔を作った。

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