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第12話

ガラッと控えめに1組の教室の扉を開くと、中では数学の授業が行われていた。 「あ、工藤君大丈夫か?体調悪いんだって?」 先生が心配そうに聞いてきて忍はペコっと頭を下げた。 「もう、大丈夫です……」 小走りで自分の席へ行くと隣の席には彗が座っていた。 「もう、身体大丈夫なんだ?無理せず寝てた方がいいんじゃない?」 「いや、授業俺も受けたいから…」 忍は先ほどの連絡先の紙切れが見つからないか心臓が早鐘のように鳴り響く。 「ふ〜ん。忍は真面目でえらいね」 スッと手を伸ばされて、忍はビクリと身体を竦ませた。 彗のその手は忍の頭をふわりと撫でる。 バレてない。 バレるわけないっ!!! 男への反逆的行為をしている事に自覚がある分、忍は恐怖が増した。 「机、ひっつけよー」 小学生のようにガタガタと机を引っ付けて並べ、授業そっちのけで彗は忍を見つめてくる。 先生も他の生徒も注意なんてしなくて、男の王様的振る舞いに逆ににこやかだった。 彗は忍からシャーペンを取り上げると、手を握りしめたり太ももを撫でたりちょっかいをかけてきた。 「彗、やめろよ!」 バシッとその手を払うと、男はクスクス楽しそうに笑った。 「こういう風に座って授業受ける忍の姿もたまに見る分にはいいかも」 ドクンっと心臓が大きく跳ねた。 たまには? たまにしか学校へ来させて貰えないのかな…… 不安と悲しさで忍は俯いた。

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