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第13話
「忍、食べさせてー」
昼休みになり、教室で三段御重の弁当を開いて彗は忍に口をあーんと開く。
周りは彗のファンが固めていて、嫉妬の視線を熱烈に浴びていた。
「………自分で食べろ」
バンっとお箸を彗の前に置いて断る忍に男は何が嬉しいのか、始終笑っていた。
本当に綺麗な顔で気を抜くと見惚れてしまいそうだった。
周りのファンは既に見惚れているのを確認すると、自分はあんな目で彗を見たくないと忍は気を引き締めた。
自分の取り皿に黙々と豪華なおかずを取り分けて、忍は視線を伏せながら黙々と食べ始める。
「忍、美味しい?」
「うん。美味しい」
頷く忍に彗はうっとり見つめてくる。
「忍、本当に綺麗だよね……。可愛いなぁ」
また始まった。
キモい発言……
小学校から永遠と綺麗、可愛いと連呼してくる幼馴染みに視力は正確か?と疑い続けてきたが、今ではもう慣れっこだ。
否定も肯定もせず黙って流す。
「忍は俺のものだよね?」
「……うん」
ここは返事を間違えると大変な事になる。
正直、自分は自分のものと思いたい反発から忍はワンテンポ遅れて返事を返したが、彗は首を傾げて同じ内容の違う聞き方で繰り返し質問してきた。
「忍は誰のもの?」
「……彗の」
口に入れていた食べ物を飲み込み返事を返すと、彗はゆったり笑って机に頬杖をついた。
「じゃあ、俺の忍君に質問なんだけど〜……」
「何?」
視線を上げて男を見ると、彗は冷たい目で微笑んだ。
「俺に隠し事してない?」
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