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第16話
「忍、起きた?」
目を覚ますと、そこには見慣れた綺麗な顔があって忍は嫌で目を伏せた。
「お腹空いてる?ちょっと熱あるからお粥か雑炊用意させるね」
「……」
忍は彗の顔を見たくなくて寝返りを打ち、顔を背けた。
「何?怒ってる?拗ねてる?」
機嫌をとってくるような甘い男の声に忍はぶっきらぼうに答える。
「頭、痛いから静かにして欲しい」
「うん。……ゆっくりしてて、ご飯持ってくるから」
彗は返事をした忍に満足し、頭をふわりと撫でて、上機嫌で部屋から出ていった。
忍はやっと息が出来たと言わんばかりに大きく深呼吸する。
彗の嫉妬で無茶苦茶抱かれた後は決まって忍は熱を出す。
身体が弱い訳ではないが、そんなに強い訳でもなく、精神的にも与えられるダメージが大きい事からの発熱だと以前、医者から言われた。
体を起こそうとするがふわふわした感覚でよろけた。
俺、何度あるんだろ……
離れた場所にあるテーブルに体温計を見つけて、忍はベットから抜け出した。
「……相変わらず、無駄に広い部屋」
いつも思っていたが体調が悪い時だと余計にこの広さが癇に障った。
ゼイゼイ息を切らせてなんとかテーブルの体温計に辿り着くと、備え付けの座り心地抜群のソファへ倒れ込むように座った。
「しんど……」
熱でなのか、抱かれた後遺症なのか忍の体はボロボロだった。
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