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第19話
「反抗的な忍はムカつくけど可愛いよね。もっと俺に縋り付いて可愛く甘えたら、ただただ可愛いのに」
忍の父親を帰らせ、彗はベットに忍をお姫様抱っこして運ぶと唇へ触れるだけのキスをして囁いた。
「ねぇ、俺に甘えてみて?」
「………一人になりたい」
心からの願いを率直に告げると、男はニッコリ微笑んだ。
「本当、ムカつく。忍、俺の事、本当は嫌いでしょう?」
嫌い
大嫌い
嫌いなんて言葉では言い表せれないぐらい不快な存在でしかない
「…………好きだよ」
本音を言えば殺されかねなくて、言えない自分に失笑する。
「本当に好き?俺は世界で一番、何よりも忍が好き。大事。大切。忍以外なんにもいらないってくらい忍だけが好き」
「うん。知ってる………」
中2で独り立ち決意した辺りから、ストーカーとかいう生ぬるい言葉では足りないぐらいの一方的な愛情をこの身で感じた。
「俺も。って言ってくれないの?」
「………」
俺は違う
俺は彗から離れたい
俺は彗から解放されたい
「熱出てたらお仕置きされないって思ってる?」
意地悪な笑顔が近付いてきて、忍はビクッと体を跳ねさせた。
ただただ、彗の事が怖くて、お仕置きという言葉に怯える忍は震えながら口を開く。
「好き……、彗が好き。俺も彗だけ……」
「本当?」
優しく笑いかける男に忍はコクンと頷く。
「本当、可愛いなぁ……」
熱い眼差しを向ける男から顔を逸らすと、すぐに顎を掴んで上を向かされた。そして、そのまま唇を奪われ、口の中に舌を滑り込ませられる。
「っ……ン、ふぁ…はぁ………」
後頭部に手を回されて、髪を引かれ、更に口を開かされると、より深く舌を入れられ、忍は苦しさに涙を浮かべた。
「ふぅ……んぐ……ッ…」
彗が満足するまで口の中を蹂躙すると、忍はグッタリと枕に顔を沈めた。
「イタズラしたいけど忍、本当にしんどそうだから今日は我慢してあげる」
男のその言葉に今日は解放された。と心の底から安堵する忍は目を閉じた。
「俺、今から習い事あるから終わったらまた来るね。ちゃんと寝ててね」
「……行ってらっしゃい」
「いってきます」
彗は忍の頭にチュッと音を立てて、キスをして部屋から出て行った。
もう、帰ってくんな……
そう念じて、忍は深い眠りに落ちていった。
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