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第24話
ー ピンポーン ー
久しぶりの我が家へ帰ってきたが、鍵が掛かっていて中に入れなかった為に忍はインターホンを鳴らした。
『はい』
母親の声がドアホン越しに聞こえて、忍はカメラに向かって母親を呼んだ。
「あ、母さん……。俺、忍です」
『えっ!忍なの!!待って!!』
驚きと喜びが混じる声色で母親はバタバタと玄関へ走った。
ガチャンと鍵を開かれると、母親は玄関から飛び出してきた。
「忍!」
久しぶりの息子の帰宅に母親は歓喜する。
ギュっと抱き締めてくる母親を忍は強く抱きしめ返した。
「忍、忍、忍……!本当に貴方なのね」
本当に嬉しそうに自分を抱きしめ、名前を呼ぶ母に忍は泣きそうになった。
「こんな所でごめんね。あんまり嬉しくて!さっ、中へ入んなさい」
少し涙が滲む目を軽くこすり、母親は忍を家の中へ誘うと忍は頷いて玄関の扉を閉めた。
リビングに入り、母に温かい紅茶を出されて忍はゆっくり飲む。
「忍、学校へは行ってるの?」
「え?あ、うん……」
今日は平日な事と、まだ学校がある時刻に外をぶらついていた息子に母親は心配そうに顔を顰めた。
「お父さんから以前、神崎家にお邪魔した時、忍に会ったと聞いたわ。彗様にえらく大事にして頂いてるんですって?」
うふふと嬉しそうに話す母に忍は苦笑いする。
「彗様とも全く会ってないわ〜。元気にされてるかしら?」
「あ〜……、うん。彗は元気だよ。あのさ、中学の時のアルバムってある?」
「アルバム?勿論あるわよ。待ってね」
母親は立ち上がり、違う部屋へアルバムを取りに行った。
「とりあえず、アルバムを取りに実家へ帰ったって事にすればいいよな」
彗への言い訳を準備しておこうと忍は考えていた。
そして、時計へ目を向ける。
時刻は14時になる。
「そろそろ戻んないとヤバイかな……」
そう思った時、ピンポーンっとインターホンが鳴る。
お客様かなっと呑気に母親が入れた紅茶を飲んでいると、玄関が乱暴に開かれて母親の悲鳴が聞こえ、忍は慌てて立ち上がった。
リビングの扉を勢いよく開き、複数の黒いスーツを着た男に忍は囲まれる。
「な、なに!!」
恐怖で体が強張り、目が泳いだ。
しかし、最後に扉からゆっくり入ってきた人物を見て忍は全てを察した。
「忍、迎えに来たよ」
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