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心配する 4
最後の客が帰り、片づけをして奥の住居スペースへと向かう。ここには祖父と祖母が住んでいたのだが、店と共に譲り受けた。
河北が探るような目で見るから、あれからずっと郷田の事を意識してしまっている。
余り物を冷蔵庫に入れ、風呂に入って寝てしまおう。そう思っていたのに、いざ、布団に入っても気持ちが変に高ぶっていて眠れそうにない。
「参ったな……」
携帯のバイブが鳴り、誰からだろうと画面を見る。友人は家庭もちが多く、用事がない限り送ってこないし、家族はメールよりも電話をしてくるからだ。
「え、郷田君?」
メールを開き読む。
<今日のご飯も美味かったです。おやすみなさい。郷田より>
あまり連絡が出来ないといっていた癖に、すぐにメールを送ってよこすなんて。
嘘つきめと呟きながら、熱くなる頬を冷ますように両手で扇ぐ。
「……これじゃ河北さんの思惑通りだな」
かなり郷田の事を気に入っている。礼儀正しいし食べる姿も可愛い。
「俺、郷田君の事が好きだ」
今までの経験が沖を慎重にさせていた。だが、もう溢れだす気持ちを押さえる事などできそうになかった。
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