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召し上がれ 4

 彼の精を中に受け、自分も腹へとぶちまける。  既に何度か目の行為の後ゆえに、汗と欲で身体はベトベトだ。 「お腹すいたでしょう? ご飯用意するよ」  怠い身体を起こし、一先ずシャワーを浴びに行こうとするが、 「まって。飯は朝で良いです」  もう少し甘えさせてくださいと、背後から抱きしめられた。 「んっ、わかった」  手が怪しい動きをはじめ、それは流石に掴んで止める。もう体力は限界だ。 「こら、もう駄目」  顔を振り向かせて郷田の髪を撫でると、実に残念そうな顔で見つめられた。 「なら、抱きしめたまま寝てもいいですか?」 「それくらいなら。郷田君の腕の中、温かいし」  と横になり向い合せとなり、胸に頬を摺り寄せば、髪を撫でられてそれが気持ち良くて、沖は眠りの中へと落ちた。  夕食に出そうと思っていたきんぴらごぼうと、昨日店で出した大きめな角煮を一つ。そして魚の味噌漬けと浅漬け。  旬の青物で作った白和え、そして大盛りご飯とお味噌汁を目の前に置く。 「召し上がれ」 「頂きます」  自分も一緒に食事をしはじめる。  思えば郷田と一緒に食べるのは初めてかもしれない。 「一緒に食うのも良いですね」  と少し微笑みながら言われ、朝からときめかされた。 「なら、引っ越ししてくる?」 「……良いんですか?」 「うん。俺の作ったご飯、食べて欲しいし」 「はい」  全ての皿の上の物がきれいになくなり、郷田が手を合わせる。 「ごちそうさまでした」  満足そうなその表情に、微笑みながらお粗末様と口にした。 <小さな食堂・了>

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