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第2話

窓から連れ去られるその人を見たとたん、身体に震えがはしった。 熱くて、悶えた。 めったに触ることのない下半身が疼いて、乾きのように欲しかった。 あの長い髪に包まれたい。 あの滑らかな肌に包まれたい。 痩せてはいても、美しい筋肉をみせるあの肌に触れたい。 あせた布の下にあるその人の性器について考えた。 咥えて舐めたい。 生まれてはじめて思った。 その足の指さえ舐めたかった。 それは生まれて初めて感じる性欲だった。 縛られ、引き立てられる美しい男に、サロメはどうしようもなく欲情していた。 美しさは鋭く、清らさは清水のように、男はそこにいた。 この男が欲しい。 聖者に欲情する自分に、母親や王と同じ血を感じた。 本来性欲を感じてはならないはずのものを欲しがってしまう。 これほどまでに。 連れ去られ地下室へ連れられていく姿をみながらサロメは自慰をした。 声をあげて、感じ、夢中で擦った。 自分から腰を振り、美しい聖者の身体を想いながら放った。 半ば監禁されていることを喜んだ。 閉じ込められいるようなモノだからこそ、誰も邪魔しない。 使用人さえ、サロメには与えられていない。 サロメに自由や良いあつかいを与えられるのは、王を受けいれた時だけだから。 見えなくなってからも、自慰に狂った。 性器がひりつくまで声をあげて、自慰をした。 ひりついてからは、穴にまで指を入れた。 王にいやらしいことを囁かれているから、そこを使うことやどうしたらいいのかはもう知っていた。 もちろん、それまでそんなことをしようなんて思ったことも無かったのに。 美しい男の唇にキスする妄想。 キスしながら、穴を指でいじった。 舌を吸うのだと。 口の中を舐め回すのだと。 嫌悪しかなかった王のいやらしい言葉が、男との妄想になった瞬間、男と愛し合うための指南になった。 穴にある良いところを指でさぐった。 本当にそれはあって。 自分の指を男の指だと思ったなら、とたんに跳ね上がるほどに感じてしまった。 また跳ね上がる身体に驚き、でも痛みのようなショックはあるその甘さに酔いしれて、またその部分をこすり立てずにいられない。 つま先が丸まり、腰がガクガクとゆれた。 もうひりつくほど弄った性器が、また雫で濡れていく。 男が消えた地下室への入り口をみながら、窓にもたれて自分で自分の穴をサロメは犯す。 良かった。 声をあげても外には聞こえないと知ってるから声を上げた。 聖者の名前を繰り返す。 聖なる人。 聖なる人。 美しいその人を思って。 してはいけない行為がドス黒いほどに甘くて、止められなかった あの人の性器を舐めてしゃぶったなら、あの人のも濡れておおきくなって、震えて、そして迸るのだろうか。 あんなに清らかなのに。 この穴であの人のを入れたなら、あの人は感じて喘ぐの? その硬さと熱さはこの穴の中でどう感じられるのだろうか。 自分の指を締め付けていた。 欲しがるように中が蠢いていた。 いや欲しかった。 あの人が。 それは恋というには激しい欲望だった。

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