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第11話

獣のように交じり合う。 兵士は下から突き上げ、サロメは絞り上げ自分から揺する。 肉、が気持ちいい。 身体の中の襞、そこから伝わる衝撃。 締め付ける内壁、突き上げる肉杭  振動が直接内臓をこすり、生殖するべき場所ではないところを生殖器に変える。 肌、が気持ちいい。 兵士の鍛え上げられた肉を包む肌。 サロメの陽を知らぬ滑らかな肌。 それらが触れ合うのが。 欲望、が気持ちいい。 飢えた目をした、兵士の嫉妬。 サロメの穴の空いた心の飢餓が。 穴で交じりあい。 舌と舌を絡め合い。 兵士はサロメのペニスをいじり、サロメは自分で自分の乳首を摘んで弄る。 キスして。穴で繋がって。ペニスも、乳首も。 全部が気持ち良くて。 まだ中で出されてサロメは喜んだ。 それでもサロメは足りなかった。 兵士に跨り、いやらしく兵士の上で動き始める。 互にイったばかりの身体。 でも、兵士の硬度はまだ変わらないし、サロメもまだたりない。 敏感になっている身体は苦痛にもにた鋭さで互いをガラスの破片のように刺し、それが良かった。 「オレのだ・・・オレの」 尻を掴んで兵士は突き上げながら叫ぶ。 甘くドロドロした蜜の中を。 華奢で儚い砂糖菓子のようなのに、甘く蕩ける菓子なのに、苦くて、でも貪らずにはいられない。 壊したくないのに、このまま突き殺したかった。 兵士とのキスで濡れた唇を開いて、サロメが鳴いてる。 そして泣いてた。 「あなたの髪・・・あなたの肌・・・あなたの瞳・・・それは私のものだ!!」 サロメは叫び、それはそのまま兵士の想いそのものだった。 ただ、サロメがそう言っているのは兵士にではない。 サロメは笑った。 泣きながら笑った。 そして兵士の唇にキスして、舌を差し込み舌を絡める。 欲しい男の代わりに。 髪を優しく撫でて、全てを欲しがるそのキスに兵士は溺れていく。 繋がった場所が兵士のペニスと溶け合う感覚、いや、喰われていた。 そこは男の性器を喰らう場所だった。 食われる度に脳を焼く快楽が走る。 でも壊れてしまうくらい泣いているのも同じ人間だった。 泣いて、笑って、また泣いて。 「オレの・・・」 兵士は囁くが、そんな言葉はサロメには届かない。 最初からサロメは兵士など見てない。 身体と身体をこんなに繋いでも遠い。 「お前を手に入れる!!」 サロメは叫んだ。 それは悲しい響きで、でも狂気のような決意だった。 「お前は私を見もしなかった・・・私をいないように扱った・・・私はお前のせいでこんな、こんなになったのに」 サロメの身体はもう男を欲しがる。 本当に欲しい男でないなら、誰でも良かった。 でも本当に欲しい男は手に入れる。 絶対に手に入れる。 「お前の唇にキスするよ!!お前を手に入れる!!」 サロメは叫んだ。 「あなたはオレのだ!!」 兵士は叫んでサロメの乳首に歯を立てた。 サロメは頭を振って喜ぶ。 それが誰であろうと、構わない。 ほしい男がそうしてくれないのなら。 聖者は静かに眠る。 サロメも兵士もいないかのように。 聖者にはどうでもいいことだから。 だからこそ、サロメは許さない。 「お前の唇にキスするよ!!」 サロメは叫んだ。 そして悟る。 古い物語の中の、荒野で修行する聖者を誘惑する悪魔の話を。 ああ、聖者にとってサロメは悪魔でしかない。 サロメは清らかな王子だったのに。 ひと目見ただけで恋に狂い、ひと目会いたくて下賎の者に身体を許し、 やっと会えたなら、悪魔だとしか思われていない。 ならば。 悪魔でもいいのではないか。 もういい。 どうしても。 どうしても。 恋する男が欲しかった。

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