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第23話

 王子達を連れ鳥の宮にむかう。  二人とも上機嫌で跳ねておる。  鳥が本宮におる間、不穏な空気を感じていたのであろう王子たちはずっと不満げに我を見やっておったが鳥を元の宮に戻した途端機嫌をなおしおった。まったく我よりも鳥に懐いておる。  庭の畑は綺麗に整えられ既に童たちへの施しなども開しておるらしい。  屋敷におる姿を見やると童たちに囲まれ賑やかしくしており、やはりここに居るのが良きようである。  あれより五日。鳥の申したことがあまりに存外のことでしばし頭を冷やさねばここに来れぬであった。 「金華ーー!!」  鳥の姿を見やると二人とも我先にと駆けて行きおった。鳥は子等に気付きにこやかに振り返る。 「ちょうどようところにいらっしゃいました。餅菓子をたくさん作ったところにございます。皆でお食べくださいませ」  竹皮の包みに入った菓子を渡され童たちと共に庭に走っていきおった。やはり妃亡き今、王子達の心のためにも鳥はなくてはならぬ者であろう。 「我にもつまみとして供せよ」  話しかけると鳥は我に気付き慌てて頭を下げた。 「こんなお早う時刻にお越しとはご休息日でございますか?」 「そなたの言う通り稀に休むことにした」 「それはようございました。今ご用意いたしますので少しお待ち下さいませ」  童たちが転げる様子を見やりながら縁側に座っておると盆に乗った先ほどの餅菓子と酒が供された。鳥が優雅に酒器より杯に注ぎ我に渡してくる。 「そういえば我はここに出入り禁止であったの……」  あれよりふた月も経っておぬ。あまりに様々なことがありおうた。 「……意地の悪いことを申されますな。いつでもお越し下さいませ」  我の皮肉を笑いながら鳥がかわしおる。 「宿しても良きか」  童たちの前より制しておるが、顔を見れば今すぐにでもその嫋やかな体を抱き寄せとうて仕方がない。 「……勿論でございます」  しばし、鳥は下を向き小さき声で返事をしおうた。

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