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第24話 ※R

「やはりわたくしよりご奉仕するのはお嫌でございますか?」  寝屋の中、我の腰帯を外しながら鳥が尋ねてきおる。 「……嫌なわけではない。我は妬いておるのだ」  鳥がそうしたように我もみっともなくも出来うるだけ心の内を晒すことにした。 「如何なことにござりますか?」 「そなたに触った者たちの影を見とうない」 「……そのような……」  下を向き黙ったままの鳥を抱き寄せる。そなたは何も悪くのうし汚れてもおらぬ。なれど我の心のなんと狭きであることか……。 「小さき男であるの……」  引き寄せ真白な体を抱きしめると折れてしまいそうに儚く細い。しかし柳のようにしなやかに過酷な運命(さだめ)に耐えて生き抜いてきおった。それこそが真の強き、清きである。鳥の母御のその尊き教えがあればこそ我らはこうして巡りおうことができた。  抱きしめておると鳥が両手で我の頬を包み唇を重ねてきおる。瞼に……額に……首元に……労わるように幾度も、幾度も……ほどなく、それが我の傷跡を辿っているのだと解した。  我の右手を取るとまだ完全にはふさいでおらぬ傷口に触れる。 「御身の指を裂いた大罪をお詫び致します」 「わかっておる」  あの折は自ら死するほど忌み嫌われておるのだと頭に血がのぼり、我を忘れて責めてしもうたが、今となれば鳥の中での最大の禁忌を犯すほど我の身を案じたゆえのことであったと解せる。 「今わたくしは王を貶めることなくお仕えできていることに幸せを感じております」  白く美しい鳥の面が花のように綻ぶ。初めて(まみ)えた時の人形のような面とはまったく違う。心より我の元にいることが幸福であると伝えてくる。 「好きにするがよい……」  寝所に寝転がると鳥は香油を取り手の中で温めると我の体に塗り広げ濃厚な桂花の香りが広がった。それは鳥よりの香りと同じもの。まるで我を我ものとしているがの如くである。  胸に腹に白き手で仔細に塗ると跡を追うように唇で舐めていく。鳥の赤き唇が香油で濡れ光り、間より赤い舌が見えた。  既に痛むほど立ち上がっているものにたどり着くと同じように香油を塗り舌を絡める。舌を細くして出し、くすぐるように丁寧に舐め上げていく。白く細い指は柔らかく両のふぐりを撫で上げた。 「……くっ……」  清き姿に淫らな振る舞い。その淫靡な様子に堪らず奥歯を噛み、鳥の金糸の髪を掴んで堪えた。先にたどり着いた舌が筋をなぞるように舐め上げる。既に出ている先走りの蜜を小さな唇が吸い上げた。 「どうか楽しまれてくださいませ……」  言うとその小さい口に我の物を飲み込み強く吸い上げる。思わず耐えきれずに出したものを鳥がごくりと飲み込んだ。 「……嬉しゅうございます」  唇と離すと、口の端についた飲みきれなかった子種をも白き手の甲で全て拭い舐め上げ微笑む。その神とも妖魔とも思える姿。なんと淫らで美しきか……。  この広き国、多くの民を収める王であることも、幼子達の父であることも、亡母、亡兄への想いも……もはや何も考えられぬ。  もはや我は狂っておるのかも知れぬ……であるのであれば、なんという幸福な狂気であろうか……。    ぼうとした頭で、吸い込まれるようにその白き体を抱き寄せた。

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