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第25話 side 金華 ※R

「欠月の身であれど、わたくしの出来うる全てでお仕え致します」  王の御身の上に向かいおうて跨り、身を添わせて体を上下に揺らす。せめて身の間で強く擦り気持ちようなっていただきたい。 「興してしておるな」 「しておりまする。眩子様にかわいがっていただけることが嬉しく熱が収まりませぬ」  おおせの通りなんと浅ましい我が身であろうか……なれどこれが我の真の姿。こうして王の力強い腕に抱いていただけていること……ずっと口にせずと秘めていた王への恋慕を口にできることが嬉しゅうてならぬのです。 「なんという愛しきか……」  熱い眼差しで我を見やり眩子様がぼそり……と呟かれた。  信じられぬ言葉に胸が熱く塞がれ涙が溢れて止まらぬ。  ご奉仕せねばならぬのに嬉しくて体が動かぬ。  王は笑いながら我を強く抱きしめ宥めるように体を揺さぶって下さった。  心地よい……幸せでどうにもならぬ。  王はそのまま我の体をうつ伏せにし、その太い指を中に入れられた。全てを任せておるとはいえ、このような穢らわしきことを気高き王にさせてしまうことが消え入りたいほど所在なく恥ずかしゅうてならぬ……。  王は我の良き場所を幾度も撫で擦り我ばかり醜く快楽に耽ってしもう。 「申し訳ありませぬ……」 「何を謝る」 「わたくしばかり……」  賜物を身の内に入れられればより楽しんでいただけるやも知れぬのに……。  もっとご奉仕しとうと思うのに我ばかり狂態を晒しておることが情けなく申し訳ない。  王の指が激しく蠢き我の体を弄る。堪えねばと思うても心地よくてどうにもならぬ。  どうぞ嫌わないで下さいませ。穢らわしきと我を捨てないでくださいませ。 「……構わぬ……我はそなたが我の手の中にいればそれで良いのだ」  耳元で熱く低い声が響き、もう耐えられぬ。 「あ…あーーーー」  見苦しくも王の御手に吐き出すと同時、地に落ちるような真っ黒な恐怖が我を包む。  幸福とは、何をかを手にすると言うことはこれほどの恐怖であるのか……。  この至福をかけらでも失えばもう我はきっと正気ではいられぬ。  振り返り溺れる者のように強く王の御身にしがみつき思わず請うてしもうた。 「……弑してくださいませ……」 「何を言っておる」  眩子様は我を見やり惑されておる。申し訳ありませぬ……しかし今、この望みをお伝えせねば身の内から震えるような……昏き水底から足を引かれるような……恐れが収まらぬのです。 「……王のお心がわたくしより離れた時に……どうか我がそうと気づく前に……」 「金華……」 「さすればわたくしはもう二度と寂しくも悲しくもありませぬ……」  呆れられたであろうか……しばし我を見つめると王は静かに頷いて下さった。   「……解うた」  ほうっ……と思わず詰めていた息がつき体中に安堵が広がる。もうこれで何の恐るものもあらぬ……。  我の醜きを全て受け入れ心安うしてくださるなんという優しき大きなお心。  この広き胸におればわたくしはもう何をも恐れず幸せでおられます。  母上様……。  我はずっと心の奥底で母上様の教えを恨んでおりました。何をもなせず……穢らわしき身に成り果てた我が何故ただただ生きておらねばならぬのかずっと分かりませぬでした。  しかし今心より感謝いたします。  命火あればこそ、このように愛しきお方に出会うことができたのですから……。

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