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第35話 ※R

 金華の屋敷に入り、そのまま寝室に向かうとその体を横たえ覆いかぶさった。 「お支度を……」  慌てて金華は身を捻る。 「構わぬ」 「……しかし…… 」  案ずる言葉を遮るように唇を吸う。柔らかく赤い唇。花の香のような吐息。白き肌に触ると手の平より脈動する鼓動を感じる。確かに、確かに、生きてここに……我と共におる! 「眩子様……?」  金華の白く細い指が我の頬に触れ、知らず流れていた涙を拭った。 「……此度のこと! もはやそなたは今生に居ぬであろうと覚悟した! どれほどの! どれほどの無念であったと思っておる!」  安堵と共に胸の奥に抑えていた熱きものが岩漿(がんしょう) の如く噴き出してきて止まらぬ! 今我は王にあらぬ。そなたに狂うただ人に過ぎぬ! ただただ、その細い体を強く掻き抱いた。 「許さぬ! 我より消えること決して許さぬと申したはずである!」  金華の黄金の瞳からも涙がこぼれ落ち細き(かいな)とは思えぬ力で我を強く抱きしめ返した。 「……あのひとときに……我はみっともなくも自らの命を惜しゅうと思うてしまいました。眩子様のお姿が瞼に浮かび、共におりたくて、生きておりたくて……炎を放つ手が震えたのでございます」  もはや耐えられぬ。その体に喰らいつき体中を弄り、噛み、吸い上げた。白い体に次々と赤黒い花が咲く。 「……眩子様」  勃ち上がっているものを香油のついた手で擦り上げる。強く弱くふぐりを柔らかく揉みあげトロトロと蜜が出てきた先を親指で押し筋をなぞった。 「……っ」  金華は自らの指を噛み、羞恥に震えながら耐えておる。  強情なことである。そのようなものは全て捨てるがよい! 我を頼り、我に縋り、我に溺れ、我しか見えぬようになれば良い!  「目を開けよ」  言葉に顔をあげ、羞恥に閉じていた金華の黄金の瞳が開き我を見つめた。 「そなたを抱いておるのは誰であるかを見よ。我に抱かれて喜んでいる自らの姿をとくと見よ」  言葉に顔が一層赤く染まる。それでも金華は目を閉じず我と自らの姿を懸命に見遣った。  一層強く握り込んだものを擦り上げ、赤い乳首を押しつぶすとそれに合わせて白い体が幾度も跳ねた。 「良きか?」 「……はい……」  蕩けた目で我を見上げる……快楽に溺れながらも、痛いほど勃ち上がっておる我のものをてのひらで懸命に触り擦り上げておる。 「ーー…眩子様……も、もう…」  溺れる者のように我に縋りつくと違いの興したものが腹にあたる。その細い腰を掴みそのまま押し付け間で強く摩った。 「……あ、あぁ…!!!」  腹の間で暖かい子種が爆ぜた。  その体を強く抱きしめながら、そのまま寝所に堕ちる。  なんという悦であるか……決してもう離しはせぬ。 + ++ + ++ + 「我は今宵そなたを真、我のものとする」  その意を解し金華の体がビクリと震えた。 「いけませぬ!」 「舌を噛むでないぞ」  自死せぬよう金華の小さき唇を塞ぎ舌を入れる。 「以外のことならば、どのようなことでも致します……どうか、どうか、それだけは……」  唇を離すと蕩としておった顔は一変し、我を案じ青白く怯え震えておる。 「我は狂うたりせぬ……」 「しかし……」 「そなたの母御におうた時、我は神託を授かった。そなたも聞いておるはずである。しかし幼き頃の記憶ゆえ、その意を解さず覚えておらぬであったのであろう」  いうても金華は不安そうに我をみやる。 「……我はあの折、そなたを本気で弑そうとした……」  地を揺るがし大地を割りその恐ろしき神の如き力で民に向かい牙をむいた。その力を制御できぬそなたに王である我は弑す他なしと断した。 「当然のことでございます。眩子様の私を交えぬ揺るぎない王たるお覚悟とご決断まこと尊し感じ入りました」  しかし王であらぬ我はそのようなこと決して耐えられぬ! 思い返すのみでこの身は震え、指が冷たくなり心の臓が掴まれるような心地がしおる。 「我もそなたも……明日、いや今この時に死するかも知れぬのが生きておるということである。なれば我はもう待たぬ……」 「……なれど……」  我を想い案じる姿のなんと愛らしく、愛しきか。 「今一度そなたに問う。そなたは誰を愛しく想うておるか?」  震えるその白き顔を両の手で包み問いかける。 「眩子様より他にありませぬ。わたくしの全てでございます」  金華は真っ直ぐ我を見るとはっきりと言の葉にした。 「ならば案ずることはない。我の手の中に堕ちてこよ。傾国の金の鳥よ……」    

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