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第39話 ※R

「元服式での(みことのり)真、驚きました。ほんに良いのでございますか」  お尋ねしながら王の上掛けを外し帯を解く、あれより元服の祝いの宴は明け方まで続き、ようやっと奥の宮に戻ってきたが、あまりに存外な仰せに未だ興奮冷めらぬ心地である。  王はまだ御年三十三歳。お体も健やかであられる。国は強く盤石であれどまさかご隠居なされるとは、あまりにも早すぎるご決断である。 「とうに、あやつらが元服しおる時には神の宮で用心棒をして暮らすと決めておった」  笑いながらも王の口調は固く、そのご決意のほどが伺える。 「王にそのようなお役目をさせるなど贅沢がすぎまする」  我の護衛など……揶揄にしてもあまりに恐れ多きことである。 「王ではない。我はこの日より無頼である。其方の近くに長くおりたいのだ。今日より共に畑を耕し、本を読み、童に剣を教えて暮らすと決めた」 「眩子様……」 「ずっとこの日を待っておった」  なんという幸せなことか……力強き腕で引き寄せられ熱きその胸の中に包まれる。あれより後添えの王妃様どころか側室の方も置かず我だけを愛しんでくださった。それだけでもあり得ぬ過分なこと。これよりも我ばかりが御身を独するなど嬉しくも、あまりに畏れ多いことで身の内が震える。 「王でのうても我を愛しきと思うてくれるか」 「なんということ……! もちろんでございます!」  王の御手が優しく我の衣を落とす。夜は明け、もはや寝屋には煌と日が入っきておる。幾度交わうておる身でおうてもこのような明るき場所で身を晒すのは恥ずかしく身の置き所がない。しかしすべてを御身のお心のままにお仕えしたい……このように飽きず我を求めてくださることが嬉しくならぬのであるから……。 「ふ……」  太く大きな賜物が我の中にゆっくり入ってくる。ぐっ……と熱き塊で内壁を擦られる刺激に目の前に火花が散るような心地がして、たまらず果ててしまいそうなる。眩子様に悦を味わってもらわねばならぬのにいつも我ばかりが浅ましく悶えてしまう。 「苦しうか?」  王はいつも気遣いゆっくりと抱きしめてくださる。優しきお言葉に首を振った。 「心地良くてたまりませぬ……もっと強く、眩子様の思うように動いてくだされ」  息を飲む音がして王の真黒な瞳の奥が獣のように光るのが見ゆる。立ち昇るようなその色香に腹の奥がむずむずと期待で疼き、体中が熱を帯びて眩暈がするほどである。 「あ……ああ!!」  足を捕まれ広げられると、一気に奥まで突かれて途端に果ててしまった。王の熱きものも我の中で爆ぜたのを感ずる。いまだ脈動するそれが我と鼓動と重なり、ふたつの体がまるで一つの塊となったような心地がする。 「……うれしゅうございます……」  言うと身の内で再び熱を持った塊が大きくなる。大きな御手が体中に触れ、痛い程痺れた中を幾度も突かれる。  なんという心地よさ……擦れて熱をもつ部分から強く掴まれる痛みから隙間なく重なる肌より御身とひとつとなってしまいたい。  我のすべては眩子様の物……もっと強く酷く跡を付け我を喰らって欲しい……。 生も死も、悦も辛きもすべては眩子様よりもたらされる物……一糸の髪も血の一雫も我は我のものではありませぬ。すべて眩子様に捧げし物。  それこそが我の望み……我の幸せでございます……。

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