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第15話 咆哮

 物騒なメッセージを見て、飛ぶように帰宅した。玄関の解錠する間ももどかしく、急いで扉を開けて入ると、むせ返るほどの甘い香りが部屋中に充満していた。「……ヒートか」  急いで小川に明日からの3日間は仕事をキャンセルすると連絡を送る。本当なら初めてのヒートなのだから1週間はもらいたいところだが、さすがにそれは無理だろう。  念のため、自分の用の抑制剤も飲む。本能に押し流されて、それで康に嫌われてしまっては生きて行けない。  甘い香りが一番強く香ってくる寝室の扉を開けると、真っ暗な部屋に、ベッドの上でこんもりとした人影からすすり泣く声が響いていた。 「…康?大丈夫?」  ベッドに座って、こんもりとした人影を優しく撫でる。 「帰ってきたよ。一人で我慢してたの?エラいね」  声をかけてみたけれど、すすり泣く声は止まらない。ゆっくりとシーツをめくると、むわっとした香りと吐き出した精の香りが一気に放出される。ヤバい…チカチカする……。 「康、可愛い顔を見せて」  耳元で囁くと、横向きに丸くなっていた康が虚ろな目でこちらを見た。 「じょ……しゅあ………おそい……もぅ……」  あぁ可愛い。もう理性がドロドロに溶けていて、白い肌がほんのりピンク色に色づいている。 「……ねぇ、早く………ほし……ぃ」  俺のベルトに手をかけてカチャカチャと外そうとするが、指がうまく動かなくてもどかしいのか、またグズグズと泣き出す。 「ねぇ、康はこのまま俺に抱かれていいの?ちゃんとお互いを知ってからって言ってたよ」 「もっ……いぃ……じょ、しゅあが……いいからっ」ぶぁぁっと康からフェロモンが放出される。  ──そこまで煽られたら、俺も我慢できないよ。康の身体をベッドに押し付けると、唇を乱暴に貪った。角度を変えて、何度も。吸い付いてくるように柔らかい唇は、クセになりそうな中毒性がある。  はぁっと息継ぎのために開けた口に、容赦なく舌をねじ込む。舌を絡め合って、お互いの唾液がぐちゃぐちゃと混じる。歯列をなぞり、上顎をなぞって康の口内をたっぷりと味わう。 「もっ、……早くっ……!ほし……ぃ!」  潤んだ目で、こちらを見ている康は、すでに下半身には何も身に着けていない。康は、俺の手を自分の後孔に導く。そこはすでにしとどに濡れていた。 「ここ……あつ…くてぇ……やだ。早くぅ……」  ヤバい、ブチンと自分の理性が焼き切れそうな音がした。当然のように、すでにガチガチになっている己のそれに、最後の理性を振り絞ってゴムを手早くつける。後ろ向きにさせて、腰を高く上げさせると、いやらしい蜜がとろとろと太ももまで垂れているのがよく見える。 「──いくよ」  ごちゅっ……ごり… 「ひゃ……あっ……あぁ………」初めてだから狭すぎて、俺のモノがなかなか入らない。ようやく尖端を埋めるが、一番太くなっている場所が入らずに、尖端だけを出し入れする。それでも開花したΩの本能は、狭路の粘膜を柔らかく解し、雄を迎え入れる準備をし始めた。さらにゆっくりと奥へ導くようにうねうねと蠕動し始めたのに合わせて俺もゆっくりと挿入を再開する。 「あぁ……最高だよ……康、すごいよ、ナカぐちゃぐちゃで気持ちよすぎる」 「あっ……すご……はぁ……おっ……きぃ」  康の雄も握ってしごいてやると、「や〜~っ……いっ…ちゃ、、ぅっ」あっという間に手の中で果ててしまった。  ガチガチだった康の身体の力は完全に抜けてしまい、くたっと枕に顔を埋めているが、まだ終われないよな。腰骨をグッと引き寄せると、程よく弛緩した身体を、剛直で切り拓いていく。 「う゛っ……はぅ〜あんっ………あっ……すご…っ」  蜜がたっぷりと湧き出ているが、ゆっくりゆっくりと、ナカを傷つけないように慎重に押し進める。けれどそれがお気に召さないのか、腰骨を掴む俺の腕に、康は手を置き、身体を捻じりながら「おっ、、おくっ……おく…………きてっ!」と懇願する。あぁ、その顔だ。ずっと見たかったんだ。今までどんなに愛を囁いても、返してくれなかった俺の番が、自分の手の中にある。αとしての心をたっぷりと満たしてくれる康の痴態が、嬉しくて仕方がない。世界中にこいつは、俺の番なんだと知らしめたくなる。αの本能が咆哮した。 「初めてなのに、康はずいぶんエッチだね。誰かに教わったの?」  意地悪な質問をして、剛直の動きも止めてしまう。 「いやっ……はじ、めてらの!だっ……から……じょ、しゅあぁ〜〜……止めないでぇ〜」  言葉の最後の方は、我慢しきれずに自分から腰を淫らにゆらゆらと振り出して最高にいい眺めだ。 「ちゃんと答えられたの、エラいね。ほら、いい子にはたっぷりあげる」 「〜~〜~っ!!しゅ、ご……あ…あっ……!」 一気に奥まで挿し込んでやると、その反動か、また康の雄からぷしゅっと放出される。 「すごいね、また出せたね。気持ちよかった?」  微笑みが抑えられぬまま、康に尋ねるも、すでにトんでしまっていて、答えは返ってこない。それでもこれからの3日間のことを考えて、またひっそりと笑った。

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