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第6話 依頼

 朝食を済ませた後、ジョシュアはおじいさんたちとゴルドー家が行っているビジネスについて説明を受けると言って出かけた。  本気で家を継ぐのかなぁ。いや、別に将来の約束なんてしたわけじゃないし、そもそも番ってもいない俺がとやかく言えることじゃないのは理解している。……してるんだけどなぁ~。  一緒に来てくれと言われてデリウィグまでついてきた。だから?おじいさんからは歓迎されなくても、せめてジョシュアが近くにいてくれたら……。 いやいや、いや何言ってるんだよ。気持ち悪いこと考えてた。 「……ぅ………こう?…大丈夫?」 「ふぇ?!」 「ずーっとおんなじ窓拭いてる!いつまで経っても、掃除、終わらないよ!」 「ご、ごめんっ」 慌ててきちんと窓を拭き始めた。 俺は今、この広いお屋敷を掃除中なんだ。と言っても軽く手伝わせてもらってるってところだけど。制服までちゃんと貸してもらって、見た目だけは完璧にこの家の使用人だ。正直、何やってんだろと思わなくもない。せっかく遠い異国に来たのに、観光らしきものもせず、家に閉じこもってるんだから。  とは言え、急に来て、色々と手を出したがる俺をリサもサイモンさんも邪険にしたりしない。暇なんで手伝わせてほしいと言ったら、サイモンさんは申し訳なさそうに「お客様にそんなことさせられません!」って叫んでいたけど。 しかし、さっき自分の部屋に戻ったらとんでもないことになっていた。 誰かが侵入したんだろう。俺のスーツケースが開けられて、中身がぶちまけられていた。 特に高価なもんなんか入ってなかったけど……抑制剤の薬がいじられていたのが気持ち悪かった……。 ジョシュアが誰も信じるなって言うのはこういうことなのか…。 「…………ふぅ」 無意識にため息をついてしまう。 「○%△X▼~~~」 低い声が聞こえてきて振り返ると、一人の男が立っていた。 金髪で、ジョシュアみたいなキレイな瞳をしている。年齢は俺たちより少し上かな。スッキリと仕立てられたダークブルーのスーツに、ブルーのネクタイがキマっている。なんと言うかαだってオーラがバシバシ出てる。この家みんなこんななのか…。この人、俺には分からない言葉で、なんか言ってるけど……。 困ってサイモンさんやリサを見るけど、二人とも固まってる。サイモンさんが何かを答えてくれたけれど……。デリウィグ語なんだろう、さっぱり分からない。 俺がポカンとしていたら、サイモンさんが俺を見て、すまなそうに口を開いた。 「あの……こちらはジョシュア様のいとこにあたるテリー様なのですが……あの……康様に……本日の視察についてきてほしいと言っておられます」 「……は?」 「……失礼ながらテリー様には康様はデリウィグ語が話せないことをお伝えしたのですが、構わないと。お客様としていらしていることは伝えますか?」 「……うーん、あいつの連れって知られたくないです。断りたいけど、どう頑張っても無理ってことですか?」 「……も、申し訳ありません」 「じゃ、リサ!リサも一緒に来てくれるならいいよ。リサ、ダメかな?」 「はぁ〜~もう、しょうがないなぁ!いいわよ」 「じゃあ、そう伝えてください。俺はデリウィグ語できないし、リサに通訳してもらえたら心強い」 はぁぁ。これジョシュアに知れたら大変なことになりそうだな……。早目に帰って来れるといいんだけど。

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