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第9話 快楽

 後頭部を固定されて、侵入を許したジョシュアの舌が口内を蹂躪(じゅうりん)する。上顎をなぞり、俺の舌を扱くように(すす)るものだから、ぞわぞわとした快楽に染まって何も考えられなくなる。 「…ん……んぁ………んっ」 わずかに酸素を求める動きを見せただけなのに、それすら阻もうとするかのように唾液が注ぎ込まれる。 苦しくて溺れてしまいそうになるが、康は必死で飲み下した。 ジョシュアにいつもの(とろ)けそうな優しさはなく、圧倒的な捕食者として俺を見下ろして存在している。 "食われる" 俺の本能が警告する。 頭の中で逃げろと言う自分の声が聞こえる。 でもそれと同時に、もう一人の自分が "ぜんぶ食べてほしい" そう(こいねが)う。 抗えないとも思う。 性急な口づけにやられ、力が抜けてくたりとベッドに横たわる。見上げた捕食者の瞳は、底冷えするほど冷たく光っていた。 ジョシュアの手がさっきまで散々弄んだ乳首を掠める。それだけで敏感な刺激となって、身体が反り返ってしまう。 「…あっ……ふぁっ………!」 またぎゅっと摘まれて、乳首をぐりぐりと弄られる。首筋をちろちろと舐められると、またゾクゾクっとした快感が走った。 「…っ!……いたっ」 首筋に吸い付いたかと思ったら、きつく吸われて鈍い痛みがする。痛みと快感が交互に襲ってきて、痛みに対しても快感と錯覚しているのか、何をされても気持ちよくなってしまう。 ジョシュアに急に両足を頭のところまで持ち上げられ、全てをさらけ出すような恥ずかしい格好をさせられる。 「……うわっ……やめっ……あぁっ〜!」 後孔の窄まりにぬるりとした感触があって、身をよじる。かたくホールドされていて、身動きがとれないところを、皺の一つひとつを丹念に伸ばすように(なぶ)られる。 「ひゃぁ……あんっ…きた、汚いよぉ…あぁっ……!……やめ……っ!」 俺の懇願にも何の返答もせず、たっぷりと唾液をたらし、ずるっずるっと啜るジョシュアのキレイな顔が、俺の足の間に見える。卑猥な音とありえない場所を舌が這い回る感触に、いつの間にか俺自身も硬度を増していく。先端からだらしなく先走りを垂らしながら、恥ずかしさと気持ち良さで頭がおかしくなりそうだ。 「うわっ……!あ゛っ……!……やっ…やめ……!」 唾液でぬらぬらしている所にジョシュアの舌が捩じ込まれる。帰ってきてからシャワーも浴びていないのに。信じられない思いで、なんとかジョシュアの顔を自分の下半身から引き剥がそうとするけれど、めくるめく快感に押し負けて腕に力が入らない。 「……き゛…き゛だないっ……がらっ……じょ、……じょ…あぁっ……!」 ひたすら甘い責苦に勝手に涙が溢れ頬を伝うけれど、それを拭うことすらできない。 「あ゛ぁ゛っ~〜!……あ゛ぁ゛………」 強い快感に、背中を反らせて喘ぐ。いつの間にか、ナカを嬲るものが舌が指にかわっていた。 「……ひぇ゛…ぐっ………あ゛っ、あ゛っっ……」 舌とは比べ物にならない快感に、口からは言葉にならない声が漏れるだけだ。確かに絶頂までの階段を上っているはずなのに、本当に気持ちいいポイントは、絶妙に外されてイクことは叶わない。下半身にどんどん熱が燻る。 無意識のうちに浅ましく腰を揺らし、気持ちいい場所にジョシュアの指を誘導しようとする。 「い゛や………う゛ぐっ………もぅっ…いぎだいっ……ほしっ!…ほしいよぉ………じょ……じょしゅあぁの……」 ぐちゃぐちゃに蕩けた顔で懇願する。 それまで黙っていたジョシュアが、指を抜き去る。 「……欲しいの?じゃあ、何が欲しいのかちゃんと言わないと」と、冷たい声色で告げる。 「うぅっ……ジョシュアの……ち、ちんこを………俺のあなに……入れて……ください」 言うが早いか、どちゅんと突き入れられる。 「〜〜〜ッ!………ぁぁっ!」 待ち望んだ刺激に、脳天を貫くような快感が走り、ぶるぶると震える。 早く動いてほしくて堪らないのに、ジョシュアは動いてはくれない。 「…っ……な、なんで?」 「康は入れてほしいんでしょ。だから入れたよ」 「……やだっ……!ジョシュアのおっきいちんこで、どちゅどちゅ突いてほしいのっ!……いっぱい…ぐちゃぐちゃにしてほしいよぉ……」 「……くっ。本当にズルいよ、康は」 ジョシュアは康の腰骨を掴むと、いきなり最奥までガツガツとピストンを始める。その激しさにあっという間に康の理性は粉々に砕かれ、ひたすら快感を追い求める。 「……あっ……ぎだっ……すごっ……!お゛っおっぎぃ………!!お゛っ……」 「ほら、誰のちんこを咥えてんの?ちゃんと言ってごらん」 「あ゛っ……じょ……じょしゅあの……おっぎぃちんこ……しゅごぃ……の……あ゛ぁっ…!」 「ねぇ……俺のちんこ好きなの?俺のだけ?」 「あぅ……じょしゅあのだけっ……じょ…しゅあのがいい〜」 ごりごりとジョシュアの剛直が、康のぷっくりとした前立腺を潰していく。容赦ない挿入に、目の前がチカチカして射精感が高まる。足の指先が丸まって、背中も勝手に反り返ってしまう。 「〜~〜っ!……あ゛っ……い゛っ………い゛ぐっ………!………ぁぁぁっ~〜!!」 康は身体をビクビクと震わせながら、盛大に精を吐き出した。その少し後、ジョシュアも苦しげに薄いゴム越しに欲を出した。

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