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第7話~ミラクル★コーク~
「俺を心配してくれたんだろう。ありがとう」
「ヒィっ!?」
声が裏返って素っ頓狂な悲鳴を上げてしまった。
「あぁ、そうか。順番が逆だった……先ずはこっちだな」
なでなで
大きな手が頭を撫でる。
「あの、先輩!?」
「ん?強かったか?なら、もう少し優しく撫でよう」
「寧ろ気持ちいい……です」
「良かった」
先輩に優しくされている。
嘘だ。夢だ。
いっそ夢なら覚めないでほしい。
「怒ってないんですか?」
「怒っているさ」
やっぱり〜
「宮田とLINEして、どうして俺とはLINEしないんだ」
エエエっ!
怒るとこ、そこー★
「宮田は消しなさい。登録は俺だけでいい」
「エエエっ!」
目が本気だ。
「分かったね」
なでなで
「痒いところはありませんか〜?」
「うるさい、宮田。ここは美容室ではない。久し振りの『なでなで』を楽しんでるんだ。邪魔するな」
「へいへい。ところで、いづる。スーツのポケットが膨らんでるのが気になるんだけど。やらしいオモチャ?」
「ギャ」
なに言い出すんだ。
「コークだよ」
「いづるは炭酸が苦手だろう。俺にか?」
そうだった。
「はい、先輩」
「ありがとう」
繊細な指をプルトップに掛けた……次の瞬間。
プシュウウウゥゥゥーーッ!!!
しまったー★
階段を走ってきたんだった。
コークの炭酸が噴き出して、先輩の顔も髪も、上質なスーツもびしょ濡れだ!
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