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第4話

 夏休み前の期末試験を終えた頃、晃誠は人知れずため息をつくことが多くなった。  時折何か悩んでいるように苦しげな顔をする晃誠が気になって、我慢ならなかった。まさか晃誠にも好きな人がいるのではないかと、邪推すらしてしまう。  放課後。いつものように一緒に帰りながら軽く誘う。 「カメさんバーガー寄ってこうよ」  2人でファーストフードに行き、さりげなく話を聞き出そうとした。  他愛ない会話をしていても、晃誠はふと寂しげに笑ったりする。やっぱり何か悩んでいるようで、ほっとけない。  いつ話を切り出そうかとじっと晃誠の方を見ていると、 「俺の顔になんかついてる?」  と聞かれて戸惑った。 「別に」  目線を下の方にずらして、目の前の飲み物を全て飲み干した。 「ゲホッ。ゲホッ」  一気に飲んだせいでむせてしまい、恥ずかしい。 「何やってんだ?」  呆れたように言う晃誠に違和感を感じた。今までだったら、「馬鹿、何やってんだよ」とふざけて笑うのに。 「その言い方ってどうなの?」 「え?」 「いつもみたいに笑って流せばいいのに」  晃誠ははっと気付いた顔をし、謝った。 「ごめん」  俺は畳みかけるように聞いた。 「なんか悩んでんじゃないの?」 「そんなことないけど」 「嘘だ」  強く言ってしまい、しまったと思った時は遅かった。 「何、それで誘ったのかよ」  晃誠は立ち上がって舌打ちする。怒ったみたいだ。 「待てよ」  俺は慌てて晃誠の腕を掴んだ。 「放せって」 「外じゃ話せないことなら、家で聞くよ。両親とも夜まで帰ってこないし」  そんな風に言っても、晃誠は何もないと否定するばかりで埒があかない。  2カ月ほどでだいぶ仲良くなったと思っていたのは、自分だけだったのかもしれない。  俺はため息をついた。 「じゃあそろそろ帰ろうか」  仕方なく手を放し、2人で黙々と片付け、店の外に出た。  気まずい空気のまま電車に乗り込む。  お互いため息ばかりで言葉が出てこなかった。

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