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蓮宅

普通の家より少し大きめの家の前で俺は ゆらと紗智を連れてインターホンのボタンを 押した。 連絡してないから両親がいるか 不安だけど、まぁとりあえずね… ゆらはやっぱりずっと俺の腕に べったり張り付いて まだ紗智とは打ち解けてない様子。 それからさっき出かけようとした時、 車に酷く怯えてたゆらだけど今は 車にはもう特に何も思ってないらしく 俺は少し安心した。 そんなゆらをチラッと見ながら 紗智が口を開く。 「この子が大きくなった事を考えると やっぱり学校行っといた方がいいよ! まぁ中学までの勉強、やってないから 今から大変だろうけど…」 「それもそうだよねー」 2人で話しているとインターホンから 声が返ってきた。 『蓮!?ちょっと待ってて!」 「はーい」 返事をしたのは母さん。 良かった、家にいたんだ。 門が自動で開いてそこから芝生とお花畑が広がりそのさらに奥の家の扉から母さんと数人の お手伝いさんが出てくる。 まさにお花畑のような脳を持つ母さんが ふわふわと歩きながら歓迎の笑顔を向けて こちらに歩いてきた。 「蓮〜〜!!帰ってくるなら 連絡くらいしてくれたら良かったのにー!」 そう言って俺をハグする母さんに いつものように苦笑してしまう。 「ごめん、急に決めたことだから…」 「そうなの!?あら、紗智くん お久しぶりね〜元気だった??」 「お久しぶりですー!元気でしたよ!」 「そちらの可愛らしいお客さんはー?」 相変わらず、俺の腕を掴んでいるゆらに 笑顔を向ける母さん。 ゆらは、いい匂いがする母さんに 鼻を近づけてクンクンしだした。 「あらあら…この子、私の香りに 気づいたのかしら!」 母さんは少しだけふっているローズの香りの 香水に気付いてもらえたと嬉しそうに ほほ笑む。 「この子はゆら!ゆらの事で相談したくて 今日来たんだ。ほら、ゆらこんにちはって言ってごらん!」 ゆらは母さんの香りが気に入ったらしく クンクンが終わったあと、母さんに笑顔を向けた。 「こんにちは!!」 母さんも綺麗な顔のゆらに ぱぁっと笑った。 「あらぁ!可愛い子ね!ぜひお話を 聞かせてちょうだい!さぁ、中へ」 そう言って玄関に手を向けて 歩き出す母さんの後ろを俺ら3人で 歩いてその後ろをお手伝いさんが 歩いている。 さっきまで開いていた門がまた 自動で静かに閉まり、 目の前には白い壁面にガラス張りを 施した見慣れた家が視界いっぱいに広がった。 これが中学まで俺が住んでいた家。 玄関に着くと高さがある扉がお手伝いさんに よって開かれる。 「「「蓮さん、おかえりなさい。」」」 広い玄関に並ぶお手伝いさんに 俺はニコッと笑って会釈をした。 「ただいま。……あ、優人!」 そのお手伝いさんの中に並ぶ優人を 見つけて俺は駆け寄る。 前よりスーツが似合う顔立ちに なったなぁ。 「蓮、久しぶり。」 「優人、めっちゃ久しぶりだなー!」 俺にほほ笑む優人は一緒にやってきた 紗智にも視線を向ける。 「紗智も久しぶり。」 「優人さん、お久しぶりです!」 優人は俺の五つ上のお手伝いさん。 兄弟がいない俺の面倒を 昔から兄のように見てくれた人。 母さんが俺の遊び相手として雇った お手伝いさんみたいな感じ。 「とりあえずリビングに行きましょ! 温かい紅茶と美味しいケーキがあるの!」 母さんは突然の俺の訪問がほんとに 嬉しいらしくいつも以上に重力を感じてない ふわふわとした足取りでリビングへと 向かっていった。

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