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俺の話でごめん。
俺は紗智とゆらを連れて
白を貴重とした幅も高さもある
リビングに久しぶりに入る。
「わぁ〜…やっぱり蓮んち
すげーなー。」
「…あはは。」
4m高の天井で相変わらず光っている
シャンデリアに目を向けて
フリルのついた花柄のソファに座った。
「ゆら…大丈夫??」
「う、うんっ」
ゆらは家に入った瞬間、
凄く緊張してるようで
ずっときょろきょろしながら
俺にひっついてる。
向かい側に母さんが座ったと思うと
広いキッチンからお手伝いさんが
何やらケーキや焼き菓子を運んできた。
「こちら、fleurのラズベリームースケーキ
そしてこちらがMercuryのマカロンと
マドレーヌ…そしてこちらは…」
俺は中学までの見慣れた光景に
ただボーッと聞いてるだけだが
何回も俺んちに来てるくせに紗智は
誰もが知る名高いお菓子の店名に目を
キラキラさせながら聞いている。
ゆらはゆらでキラキラしているケーキに
目を輝かせていたけど、どこか
落ち着かないようだった。
「うふふ。遠慮なく食べていいのよ〜
ぜんぶ美味しいから!
…そうそう!蓮に新しく紹介したい子が
いるの!林川、あの子を
連れてきてちょうだいっ」
俺が生まれる前から
ここのお手伝いとして働いている
林川に母さんは嬉しそうに頼み、
「かしこまりました。」
俺は母さんに返事をして奥の部屋に
向かっていく林川を小首を傾げながら
見つめていた。
あの子ってだれだろ…
「わぁ…このフィナンシェめっちゃ
うまい!!!」
部屋に嬉しそうな紗智の声が響き渡る。
「紗智くんのお口に合って嬉しいわ。
あとこのガトーショコラも凄く美味しいの!
紗智くんチョコレートのお菓子
大好きでしょ??」
「はい!」と満面の笑みで頷く
紗智に苦笑していると奥の部屋から
すぐに出てきた林川に注目した。
するとゆらがビクゥッと肩を
震わせる。
そんなゆらを心配して
見ていると
「きゃぁ!!めろちゃん〜♡
この子!最近飼い始めたノルウェージャン
フォレストキャットのめろちゃんよ〜!」
母さんがきゃぁきゃぁ言ってるのを
聞いて再び林川に視線を移す。
すると林川の腕の中に白い長毛の
大きめの猫が抱っこされていた。
「ひゃぁ…先住猫ぉ…」
猫を見た瞬間、半泣きのゆらは
俺の後ろにパッと隠れてブルブル震え出す。
ゆらが落ち着いてないのは
この子の存在を感づいていたからかな??
「ゆら、大丈夫??」
「うー…」
めろちゃんという猫は音をたてず
林川から下りると母さんの足に
カラダをすり寄せた。
そんなめろちゃんを母さんは
抱き上げて俺に見せてくる。
「蓮がいなくて寂しくなったから
猫ちゃん飼っちゃったの!
どう??可愛いでしょ〜」
「にゃぁ」と鳴く凛とした猫に
俺はにこっと笑った。
「うん、可愛いっ………いっ!」
俺がそう言うと隣で震えているゆらに
腕を抓られてつい声を漏らしてしまい、
驚いてゆらを見るとヤキモチからか
ぷく〜っと頬を膨らませてる。
俺はそれにふふっと笑って
ゆらの耳元で囁いた。
「ゆらが1番可愛いよっ」
「れ、蓮…///」
ゆらは俺の言葉に顔を赤らめて
俯き、その頭を撫でてあげる。
「あなた達、仲いいのね。
蓮に新しい友達が出来て嬉しいわ〜
それでお話はなにかしら??」
言いながら紅茶を伏し目で飲む
母さんに
ガタン
俺は立って頭を下げた。
「え…ど、どうしたの、蓮」
「この子を養子にしてください!!!」
そう言って顔をあげて
ゆらの肩に手を置く。
「よ、養子??!」
「訳は全部話す!!とりあえずその話だけでもいいから聞いてほしい!!」
俺の必死な頼みに母さんは
突然の大きな相談と申し出に驚きつつ
涙をダバァッと流し始めた。
「か、母さん!!!?」
「蓮が私を頼ってくれるなんて…
なんて嬉しいの…」
感激してポロポロ泣く母さんに
林川がレースのハンカチを渡して
さらにめろちゃんが涙を舐め始める。
「ちょっと、、泣かないでよ…
なんで泣いてんの…」
「だって蓮ったら、小さい時から何でも
1人でしたいって小さい時からぁ…っ」
まぁ母さんがそう言うのも悪くない…
だって俺はこの恵まれた生活から抜け出したくて中学の時から早く家を出ることばかり考えていた。
高校に入学する時にやっと父から
一人暮らしの許可がおり、母さんは
寂しさからか相変わらず反対をしていたが
それを押し切って家を出た。
一人暮らしをするなら高校の近くに
高級マンションを買ってくれるという父に
俺は平凡な普通のマンションを賃貸で
借りたいと頼み込んで
さらに月に仕送りで50万振り込むという
母さんに10万で充分だからと言って
10万にしてもらった。
いい加減、皆から"お金持ち"と、いうイメージを拭いたかった。
俺は庶民派だし、
お金だって最低限でしか使わない。
この家は好きだけど、
何でもやってくれようとする家柄に
俺は早く自立がしたかったんだ。
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