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アールグレイティーは結構好き

「それにしても良かったな、ゆらくんを 養子にしてもらえて! 俺もしてほしいくらいだよ!」 「お前の両親だって、めちゃくちゃ親バカじゃん。あったかいし、優しいし俺はお前ん家の 雰囲気すごく好きだよ」 ダイニングでご飯を食べたあと、 俺たち3人が談笑をしていたら 母さんが俺に手招きをしてくる。 すぐに駆け寄ると 「ちょっと久しぶりに2人で話さない??」 と言って俺の手を引き応接間に 連れていった。 *** 「アールグレイティーです」 ソファに座るとお手伝いさんが 紅茶をガラスの机にカチャッと小さい音を たてて置く。 その紅茶の香りをかぎながら 母さんは俺に口を開いた。 「蓮が来てくれて私達にしか出来ない 頼み事をしてくれて今日は凄くいい日だわ。 お父さん、今日帰ってこないのが ほんとに残念…」 「お父さん、今、イギリスだっけ?」 「そうなの、お父さん頑張りやさんだから」 お父さんは国内だけで無く海外でも 仕事をしてるから家を留守にすることが 凄く多い。 だから母さんはそれもあって 俺の一人暮らしを反対していた。 広い家にたとえお手伝いさんがいたとしても 家族がいないことに母さんは凄く 寂しそうに笑う。 「でもね、心配しないで! 蓮は蓮がしたいようにしなさい。 困ったことや辛いことがあったら 何でも言ってね。」 「母さんもなんかあったら俺に言ってよ。 家近いんだから、すぐ駆けつけられるし」 俺の言葉に「それだけで充分」と 母さんはまた笑った。 「それで、ゆらくんの事だけど あの子の籍、うちにもう入れていいのよね?」 「うん、、てゆかゆら、まず元の籍が…」 猫だったから、、 俺が不安そうな顔をすると 母さんは大きく頷く。 「そのへんは任せなさい。 あなたは何をしてほしいか言うだけで他のことは気にしなくていいわ。それと、蓮のとこへの高校入学とマンションはもう少し広いところにする??」 「うーん、今のとこ一人暮らしでも 充分広いから、、」 「でも2人だとやっぱり狭いわよ! 新しいとこすぐに手配するわ! …で、それまでここにいてほしいんだけど」 息子の俺に申し訳なさそうに やっぱり寂しいのか母さんは呟いた。 そんな母さんに俺はにこっと微笑む。 「いるよ、ゆらも一緒に!」 「ほんと!?嬉しいわぁ! ゆらくんに感謝しないとね〜」 そう言ってメモをとりはじめる母さんは 凄く楽しそう。 俺はにこにこしながらアールグレイティーを 一口飲んだ。

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