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 篠山は、豹変もしないし、がっつきもしなかった。  控えめに皮膚を撫でながら、ゆっくり吐息を漏らしている。  慈しむような目で、ちゅっ、ちゅっと、2度キスされた。  オレはおおげさなくらい胸が高鳴ってしまって、こんなチョロい奴だったのかと、知らない自分を発見したような気分だ。 「すごい、可愛いです。目がとろんとしてて。何かして欲しいこととかありますか?」 「……好きにしていいよ」 「え……、何それ。殺し文句ですか」  両手をオレの顔の横につき、閉じ込めるように見下ろしている。  そっと目を閉じると、篠山の口づけが下りてくる。  首筋、鎖骨、胸板、腹……上半身をくまなく愛でるが、欲しいところには触れてくれない。  胸の真ん中を通過しようとしていたので、思わず頭を押さえた。 「安西さん、おねだり上手ですね」  乳首を口に含み、吸い付いたまま、チロチロと舌先で舐めてくる。 「……っ、ん」 「ここにして欲しかったんですね」  甘ったるい声を漏らしながら、こくりとうなずく。  手を離すと、篠山は同じ場所を吸いながら、空いた片手でもう一方を、カリカリと爪で刺激した。 「あ、ぁ……っ」 「腰浮いてます」 「は……、ぅ」  乳首は離さないまま、5本の指先で、内ももを撫でる。  じらすようにさまよった手は、オレの下着をずるっと脱がし、ペニスをとらえた。 「んっ」 「すごい、ガチガチだし、先っぽぬるぬるです」 「言うなあ……っ」 「俺も似たようなものなので、大丈夫ですよ」  下腹部をぐりっと押し付けられると、下着越しに、固く盛り上がったものを感じる。  手際よく上下されて、か細い声が漏れた。  篠山は額に軽く口づけたあと、枕元のパネルの横にある箱から、ローションを取り出した。  ピリッと小袋を破り、手のひらに出す。 「自分で足開いて、抱えてください」  とんでもなく恥ずかしく思いながら、言われたとおりの格好になる。  秘部の全てが曝け出されて、羞恥と興奮で呼吸が荒くなる。 「中、ほぐしますね。イキたかったらイッてもいいですよ」  ぬるりと、指が滑り込んでくる。 「あれ? なんか、やわらかい。準備してくれてました?」 「……してない」  篠山にしてもらって以来、ひとりでするときに、後ろもよく使うようになった。  自分の指では、全然良いところまでは届かなかったのだが。 「じゃあ、予習復習してくれた、って感じですかね。うれしいです。すごくやわらかくなってるし、中もうねってて。ほら、もう2本目が」  中指と人差し指を交互に動かし、確実に前立腺に当ててくる。  オレは思わず身悶えて、シーツを握りしめた。 「あっ、……あんっ、はぁ……っ」 「声我慢しなくていいですよ。エッチな声聞きたいです。……3本目、挿れちゃいますね」 「ひぁ……っ、あぅ、そこもっ、やめ、……っ」 「嫌ですか? ものすごく良さそうに見えますけど」 「だめ、んぅっ」  イキそう。早すぎ。でも抑えられない。  ぐちゅぐちゅと素早く動かされて、快感に体が支配される。 「あ、イク、だめ……っ、あッ、んっ」 「いいですよ、イッて」 「やだ、……っああッ、イッ、イクッ、……っ、ああぁああ……っ!!」  シーツを握りしめたまま背を反らし、ビュクビュクと精液を吐き出した。  息切れとともに脱力……したのに、恥ずかしい思いとは裏腹に、また自分の足を抱え直して、篠山の目を見てしまう。 「……やば。安西さん、その顔、可愛すぎますよ」 「んぅ……、はやく、挿れて」 「俺も、早く挿れたいです」  手早くコンドームをはめ、後孔にひたりとくっつける。 「きょうは味わいたいので、ゆっくり挿れますね」  篠山はうっすら笑うと、先端を埋めてきた。  ずぷずぷと、熱い塊が侵入してくる。  激しく突かれているわけでもないのに、嬌声を上げてしまう。 「あー……っ、あ、あっ、あぁっ」 「気持ちいいですか? まだ半分ですよ」 「はあっ、ん、きもちぃ、きもちぃ……っ」 「……っ、これで全部。お腹の中、パンパンですね」 「んっ、んぅ、突いて、早く」  ねだるように、腰が浮いてしまう。  篠山は、ゾクゾクするような目でオレを見下ろしながら、ゆっくり動き出した。  少し慣れたからだろうか、いま体のどのあたりを擦られ、どのような動きをしているのかが、リアルに分かってしまう。  篠山はオレの腰を掴み、体を揺らすようにして、感触を味わっているようだった。  ときたますーっと息を吸うその表情が、艶かしい。  たまらず懇願した。 「もっと強くして。お願い」 「……そんな可愛く言われたら、そうするしかないじゃないですか」  篠山は体を抱え直すと、ずんっと一気に奥へ貫いた。 「ああ……っ!」 「うわ、やばい……すごい締まって……っ」  がっついたように、ガンガン突いてくる。  同じところを何度も何度も突かれて、経験したことのない快楽に体を支配される。 「んっ、ぁ、……っ、はぁっ、あッ」 「……っ、安西さん、気持ちいいですか?」 「きもちぃ……、んっ、はあっ」 「俺も、ちんこ溶けそ……」  余裕のなさそうな声が、欲情を誘う。  思わず背中にしがみつくと、篠山は、息を押し殺しながら激しく腰を振った。 「あー……、あ、あっ、も、イッちゃぅ、……っ」 「いいですよ」 「んっ、んぅ」  射精感が高まる。  ぐっと背を反らすと、篠山はがっちりとオレの体を固定した。 「ここですよね、安西さんがイッちゃうところ」 「はあっ、きもち、……あぁあッ、出ちゃ、あっあ……ッ」 「精子出ちゃうところ、見たいです」 「ひぅっ……、あ、っ、あっ、イク、イク……ッ! あぁああぁ……! …………っ!!」  ビクビクと体が跳ねる。  篠山を咥えこんだ部分がヒクついて、大量に射精する。  その間にも篠山の動きは止まらなくて、イキながら何度もイッている感覚になる。 「もぉっ、ダメ! あぁっ、やぁっ、…………ッ!」 「まだイけますよ」 「ああぁぁああッ……!!」  体全体が、わななくように痙攣する。  篠山は深く息を吸い込み呼吸を詰めて、オレの最奥で果てた。

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