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「あっ、あ……ッ、んっ、きもちぃ……っ」 「中、すっごいうねってますけど、わざとですか?」 「ちが、勝手に、かってになっちゃ……」  パンパンと、一定の速度で奥を突き続ける。  子犬顔に似合わぬサイズだから、軽く突くだけでも、腹の奥の奥まで簡単に届いてしまう。  オレがへばりかけると、腰を掴んで引き上げ、さらに押し込むようにする。  声にならない声で、シーツを引っ掻く。  篠山は、暴れるオレの手の甲に手のひらを重ね、そのままぎゅーっと指を絡めてきた。  カップル繋ぎとも言えるが、全指を固定されている感じもする。  足を肩幅以上に開かされ、絶妙な角度でハメてくる。  こうなるともう、逃げられない。 「ああっ、しのやまっ、それ、だめぇっ」 「なんでですか? 気持ちいいですよ」 「……っく、きもちよすぎて、だめぇ」 「あらら、泣いちゃった」  涙を流すオレを無視して、篠山は自由に中を突く。  どれだけ気持ちよすぎても逃げられないし、こうなると、篠山の気の済むまで延々突き続けられることになる。  篠山はなかなかのスピードで抽送を繰り返しおり、オレは多分、精液が出ていないだけで、もうずっとイキっぱなしになっている。 「はぁっ、くるし、やぁっ」 「安西さん、めちゃくちゃエロい声してます。ぐずぐずで」 「ひぅ、……っく、やらぁっ、ぁぅ」 「でもお尻、キュンキュンしてる」  オレの片足を上げ自分の太ももで固定し、高速で腰を振る。  絶叫。意識が飛びそう。声が裏返る。 「あんっ、あンッ、あああっ、ひあぁッ、あン……ッ」 「そろそろ限界ですかね」 「んぅ、ふぁ、しのやま、も、ゆるして……っ」 「泣き顔も可愛いんですけど……あしたも仕事ですしね。最後、うんと気持ちいいので出して、終わりましょうか」  篠山はオレの体をそっと放した。  だるさのままに、肢体を投げ出す。  ゆるく目を瞑るオレの体の上を、篠山がまたいだ気がする。  うっすら目を開けると、童顔が目の前にあった。  さっきまでの激しさとは打って変わって、どこまてまも優しいキスだ。  愛情を確かめるみたいに、何度も、優しく。  やわらかいキスを繰り返されて、頭がふわふわしてきた。  篠山はキスをしながら、そっとオレの足を持ち上げ、腰の下に枕を挟んだ。  慈しむような目で微笑み、ペニスの先端を入り口に当てる。 「一番気持ちいいの、しましょ」 「……うん、」  ゆっくりと侵入してきた篠山は、キスをしたり、「可愛い」とか「好き」とか繰り返しながら、ゆったりと腰を前後に振る。 「安西さん。だーいすき」 「ん、っ……、篠山、……すき、すきぃっ」 「背中、ぎゅってしがみついてくれますか?」 「ん……、あったかぃ」  お互いの体温が溶け合って、幸福感に包まれる。  大好きだと口にすると、好きな気持ちがどんどん募っていくし、大好きだと言われたら、それだけで胸がいっぱいになる。 「……っ、このままゆっくり、イッちゃってください」 「ふ、ふぅ……ぁ、はあっ、しのやま、」 「イク?」 「ん、んっ、も、イク……っ、イク、ぁっ、あ、あ…………っ、…………ぁあー……」  トロトロと腹の上に垂れてゆく精液が、止まらない。 「あー……しのやま、これ、止まんな……ぁ」 「俺もずっと気持ちいいです」 「すき……好き、ん……」  ようやく絶頂が過ぎ去り、くたっとすると、篠山はオレの頭をゆっくりなでながら、クスクス笑い出しだ。 「コンドーム、替える暇もなく何回も出しちゃって、抜くのが怖いですよ。結ぶ前に全部出て大惨事になるかも」 「まあ、それならそれで」  篠山がこわごわ抜くと、お腹の中を満たしていたものがなくなり、きゅんと切なくなった。 「……セーフ、です」 「爆弾処理犯みたいな顔してるぞ」 「近しいものはありますね」  1ミリも動けないオレの代わりに、せっせと後始末をしてくれた。  甲斐甲斐しくお世話されるのも好きだ。  同じように疲れているのに、やらせちゃうのは申し訳ないけど。 「はい。全部綺麗になりましたよ。お風呂はあしたの朝一緒に入りましょうね」 「んー。篠山ぁ。好きが止まらん」  バッと振り向いた篠山は、目をまんまるくしていて……。 「好きが、止まらないですね。俺も」  あー……一緒に住みたい。  幸せのぬるま湯に浸かって暮らしたい。

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