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「んんッ…む、ん…」
葵の喘ぎ声が籠ったことに気が付いて視線をやると、彰吾がその唇を塞いでいた。舌を絡め取られ、きつく吸われているのだろう。その度に、葵は美智の指と舌を締め付けてくる。
「キス好きなの?きゅんきゅんしだしたね、可愛い」
今までとは違い、奥に引き込み搾り取るような収縮を見せる蕾は美智の感情を昂らせる。
「挿れたら俺もキスしてあげるね、葵」
宣言が耳に届いたのか分からないが、タイミング良くひくんと反応が返ってきてますます美智を満足させた。
机に垂れるほど濡らしてようやく、指を二本、三本と増やし、奥まで広げる作業を進めていく。
葵を泣かせるしこりの位置は把握したが、今日はそこを指で嬲り尽くすつもりはない。触ってほしいのか、葵は無意識に腰を揺するが無視してただ中を解すだけに徹する。
「そろそろいいかな。彰吾、葵の体支えてあげて。挿れるとこ見せたい」
「悪趣味」
文句はいうが、彰吾は美智の依頼通り、葵の上体を引き上げ背後から抱えるような姿勢をとってくれる。
「挿れたらすぐイッちゃいそうだけど、葵、我慢できる?」
美智が見せつけるようにベルトのバックルを外し、前をくつろげても、葵は逃げ出そうとはしない。感じやすい場所を全て紅く染めて、ただ美智に食べられるのを待っている。
「我慢できなかったら、二回目、がんばろうね」
葵の内腿を押さえ込み、ぱくぱくとひくつく後孔に切っ先を当てがい、美智は卑怯な約束を取り付けた。葵が返事をする前に、ゆっくりと体を進める。
三本の指で丹念に解してもそこはギチギチに美智を締め上げてくる。
「あ、あッ……ん、やぁーーーッ」
葵が思わず口を塞ごうとした手は彰吾がしっかり取り上げてくれる。そのおかげで悲鳴にも似た嬌声が室内に響いた。
「葵?イッちゃった?」
先ほどおざなりにした箇所を挿入の際にあえて強く押し上げたからかもしれない。葵の薄い腹にはとろりと白濁が溢れ、華奢な体が小さく痙攣を繰り返す。分かっていて確認するのは意地が悪いとは思うが、彼はどうにも苛めたくなる。
「我慢できなかったのか、残念だね。このあと俺がイッたら彰吾とセックスして。そのあとまた俺としよう。五限は遅刻どころじゃなくなっちゃったね」
達したばかりでより過敏になった体を抱き締め、これからの淫らな予定を囁くと、ますます痙攣がひどくなる。
「大丈夫、痕は付けない。約束するよ」
それが彼にとってどれほど大事な約束なのかは分からない。けれど美智が改めて誓いを立て、そして唇を重ねれば、安堵したように彼からも腕が回ってくる。
やはり舌を絡めると、中がきゅんと痺れるらしい。初めての子を泣かせるのも楽しいが、男を悦ばす顔と身体を持つ葵との行為は一度で飽きる気配がない。
「ねぇ、だからまた、遊ぼうね?」
まるで恋人のようにキスを交わしながら奥を突き上げ、甘く囁けば、葵は必死にしがみつきながら頷きを返してくれる。
この愛らしい人形をまた抱ける。真白い首筋に噛みつきたいのを堪えながら、美智は彼の中に一度目の欲を解き放った。
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