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「葵、こっち来い」 ワイシャツだけを羽織らせた葵を四つん這いにさせ、口元を彰吾のスラックスのチャックへと導いてやる。美智の準備が整うまでの暇つぶしに、口淫でもさせてやろうと、そう考えたのだ。 だが葵は何もせずにジッとこちらを見つめてくるだけ。 「なに、これはやなの?」 「……あの、どう、すれば」 「ハッ、まじで?フェラは仕込まれてないの?」 「へぇ、葵のご主人様は変わった趣味してるんだね」 本当に困った顔をして固まる葵に驚いたのは彰吾だけでなく、美智もらしい。露わにさせた秘部に口付けていた顔を上げ、いつもは涼しげに細められる目を丸くさせていた。 「いいなぁ彰吾。葵のハジメテがもらえるね」 「この調子なら、何もかも開発済みってわけでもないのかもな」 俄然、この遊びに楽しさが増した。しばらく飽きそうもない。美智も同じことを考えたのか、一段と機嫌が良くなったのが分かる。 「いきなり咥えなくていい。舐めてみ?」 まだそれほど芯の通っていないものを葵の唇に付けるところまでは彰吾が手伝ってやる。不安そうに眉をひそめる葵の髪を撫でて宥めてやれば、おずおずとそこに舌を這わせてきた。 「ん……んんッ」 葵が動きだすのを待って、美智も後孔を舌で犯し始めたらしい。葵からは鼻にかかったような甘い喘ぎが漏れてきた。 「ちゃんと濡らさないと、挿れる時裂けるかもな」 「ッ……や、ぁ」 ピンクの小さな舌がまるでアイスでも舐めるかのような幼い仕草で刺激を与えてくる。それに焦れた彰吾が脅しをかければ、葵は焦ったように唇全体を使って啄んでくるようになった。 お世辞にも上手とは言えないが、綺麗な顔をした葵が懸命に自分にしゃぶりついてくる様は背徳的でそそられる。もっと時間を掛けて自分好みに仕込みたい、そんなことを考えて彰吾は彼の主人の嗜好を少し理解できた気がした。 「意地悪だね、彰吾は。傷付けないようにこうして解してあげてるのに。怖がらなくていいよ、葵」 彰吾の足を引っ張るようなことを言い出したのは、紅く薄い唇を濡らした美智だった。葵の視界に入っていないというのに、見せつけるように己の指を咥え、唾液を絡ませている。 「んんッ……あっ、あぁ」 「葵、口離すな。続けろ」 たっぷりと唾液の絡んだ美智の指が侵入してきたのだろう。途端に肩を跳ねさせ喘ぐ葵を叱りつける。涙を浮かべて彰吾のスラックスを掴んでくる手が震えているが、許しはしない。 静かに頬を濡らしながら唇を開く様子に、ドクリと血液の集まる感覚がする。

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