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「お待たせ、おいで葵」 広い浴槽の端にいる葵を呼び寄せれば、すぐに馨の元に移動してくる。彼は馨の精神を安定させるのに欠かせない存在。 向かい合わせになるように膝の上に乗せて抱き締めると、揺れる髪から馨の好きな香りが漂う。馨の言いつけをきちんと守り、馨の好み通りに身支度をする葵の健気さが愛しくて堪らない。 「今日はきちんと授業受けられたの?」 早朝、出勤前に無性に葵が欲しくなり、少し強引に体を暴いてしまった。もちろん痛みを感じさせることも、傷を付けることもしたつもりはないが、いやと言うほど丁寧な前戯の上で抱かれることに慣れた体は辛そうではあった。 「んッ……ん」 少し滑りのある湯を纏わせた指で、今朝方割り開いた場所に触れれば、そこはわずかに腫れぼったい感覚がする。腫れさせるほど乱暴にした覚えはなかったが、犯人は自分しか有り得ない。 「葵、そこに手をついて見せてごらん」 馨の命令に、葵は少しだけ戸惑う素振りを見せたが、すぐに大人しく湯から体を引き上げた。 「やっぱり少し紅くなってるね。痛い?」 もう何度も見られているというのに、至近距離で観察されるのはいたたまれないらしい。顔を真っ赤にして首を横に振る葵からは、早く元の体勢に戻りたい、そんな思いが見てとれる。 「心配だから奥までみてみようか」 馨の宣言に、葵はぴくりと肩を震わせた。でも拒むことは許されない。葵は受け入れるように頷きを返してくる。 入浴の合間に体を繋げることは少なくない。だからそのための道具はきちんと浴室に常設されてある。馨はボトルの一つを取り、手の平に傾けた。中からはとろりとした透明のジェルが溢れてくる。 粘着質な液体を手に馴染ませる音を浴室に響かせれば、それだけで葵はこれから何をされるのか理解したようだ。浴槽の淵についた小さな手が握り締められるのが見える。 「ん……ん、あッ」 「よかった、傷にはなってないね」 刺激を期待してひくつく蕾にジェルを纏った指を滑らせれば、途端に可愛い嬌声が上がる。擦れて腫れたような感触はするものの、裂けてはいないようだ。 きゅっと窄まる縁を濡らしていき、そして葵の呼吸に合わせて少しずつ指を進入させていく。ジェルの滑りの手助けにより、馴らされた体はお行儀よく馨の指を飲み込んだ。

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